映画監督の新藤兼人さんは、
10歳の時に母が縫ってくれた着物を生涯、大切にした
もともとは子供用の筒袖だった
20歳近くになり、もう着る機会もないと
処分しようとした時、袂が縫い込んであることを発見した
その時、既に母は亡くなっていた
大人になっても着られるように、との心遣いを知り、
新藤監督は衝撃を受けた
「縫いこんであった袂のあたりには、
母のたましいがしみこんでいる気がする」と
「これ、宝物なんです」
後輩に、使い込まれたノートを見せてもらった
見開いた左側に1年間の暦が手書きされ、
右側には毎日の決意を書く欄がある
1980年に始まり、2030年まで、収まっていた
その友人が少年時代を過ごした故郷のおばさんから、
「中学生になったお祝いに」と贈られたものという
一人の少年の半世紀先までの成長を願いながら、
真心込めたノートを作ったおばさんの姿を思うと、
胸が熱くなる
全ての母に感謝し、自身の決意を新たにしたい