アメリカの女流画家グランマ・モーゼスは、
美しい田園の郷愁に満ちた絵と、
素朴な作風そのままの人柄とで、
世界中から愛されました
”八十の手習い”と言ってもいいような年齢から
亡くなる百一歳までに、ナイーブ・アート(素朴派絵画)を
代表する千五百点の絵を描き残したという驚異的な事実は、
よく知られています
彼女は言います
「もちろん苦しいこともありました。
でも私はそれを殆ど払い除けましたし、
苦しいことは忘れるように自分自身に
教え込む努力もしました。そうすれば、ともかく最後には、
困難は逃げ去るのです」
常に「いま」を輝くほどに、彼女は生きたのです
いや、闘ったのです
私は思います
どんな人の中にも、自分らしい創造の翼は必ずある、と
それは芸術の分野に限ったことではありません
日々の生活の中でも、その翼を大いに羽ばたかせることは
可能なのです
そのことを、モーゼスおばあさんの生涯は
教えてくれます
「生きる」ということは、生涯かけて学ぶことです
また「人生とは、私達自身が創るもの」なのです
そのスタートが何歳であっても遅くはないこと、
さらに、それには学歴などは要らないことも、
モーゼスおばあさんは教えています
私はそこに、たぐいまれなる
「自律」と「自立」の魂をみます
自ら律しつつ、自ら立つ
このとき人は、人生という名の舞台の上で、
いつも”主役”を演じ続けることに違いありません