氷を熱して解かし、沸騰させて水蒸気になるまでの
「水の三態」を学ぶ実験を見て来ました
沸点に達するか達しないか、
温度差はわずかでも、状態は、液体から気体へと
大きな変化を遂げます
”もう一度”の熱が加わるだけで状況が一変する───
そんなことを調べているうち、
ある友人から聞いたエピソードを思い出しました
友人には、いくら通っても、
一度も会えない引きこもりの男性がいました
家の中に人の気配を感じますが、
玄関の扉が開くことはありませんでした
それでも諦めずに足を運び続けた、ある日、
初めて会うことができたのです
「あんたには負けたよ」と男性は言い、
心を閉ざしてきた理由を話しました
仕事や生活で、何をやっても上手くいかない
惨めな俺の気持ちなど、
分かるはずがないと思っていた、と
「でも、あんたに聞いてもらえたら、
後ろ向きの心を変えられるかもと思えた」
水はひとりでに沸騰はしません
エネルギーが積み重なって、沸点まで熱が上がります
「ちょっと待って」と部屋に入った男性が、
何かを手に戻ってきました
友人が残していった置き手紙の束だったのです
”もう一度”と通い続けた情熱が、
男性の心の扉をついに開けたのです