氷と日本人の歴史は古い
『日本書紀』には、猟に出掛けた額田大中彦皇子が
奈良市の郊外で氷室を見つけたことが
記されています
平安時代には現代のかき氷に通じる姿が現れます
清少納言の『枕草子』には削った氷
「けづりひ」が登場します
「けづりひにあまづらいれて、
あたらしきかなまりいれたる」
(第39段「あてなるもの」)
「あまづら」は甘葛の樹液
現代風にいえばシロップだろうか
砂糖代わりに使っていたようです
「かなまり」は「鋺」と書きます
金属製の椀で、銀のカップとも
「あてなるもの」とは「優雅なもの」とか
「上品なもの」の意ですから、
小刀で細かく削った氷を盛り付け、
シロップを加えた器が冷えて、
回りに水滴が付いた姿を愛でながら
楽しんだのでしょう
このほか『明月記』や『源氏物語』の
「蜻蛉」「常夏」や『宇津保物語』『栄花物語』
にも氷に関する文が見えます
時代は移って現代
”かき氷熱”は高まる一方です
海水浴、花火大会、盆踊り
夏の思い出は様々ですが、
今年は、かき氷がその脇役になるかも
目と舌と肌で季節を感じられる涼味の粋・かき氷は、
夏を彩る日本の風情、
楽しみといえるかもしれません