五七五七七の心地いいリズムにのって、
歌の美しさを感ずる日本人というのは
実に不思議だと思いませんか
これは平安時代に平仮名を作ったという
大きな発明の成果だと思います
平仮名ができたことによって、
日本語が日本人のものになったのでしょうね
日本の美を決定したのは「古今集」だと思います
「万葉集」が自分の気持ちをそのまま詠うのに対して、
「古今集」は、与えられた歌題に対して、
優美に技巧的に表現しますから、
実際に紅葉の下で鹿が鳴かなくても、
「紅葉の鹿」の定型の表現を用いて
秋を詠うことができます
そして、その歌から、私達は深まりゆく秋を
感じるようになったのです
そういう日本的な感覚は「古今集」が
作り上げた世界で、「百人一首」は「古今集」の部立、
美意識にならってできた歌集です
世界の国々の文化が流入している現在、
「日本の美とは何か」を考えるうえでも、
「百人一首」はいい教材になると思います
京都にも外国の観光客が増えてきましたが、
恐らく日本的な美しさに
関心があるのではないかと思いますね