蘭の栽培が趣味の近所のおじさん
温室に数々の鉢植えが並び、
皆、株分け後、”くず”と捨てられる部分を譲り受け、
育てたものだといいます
「生きている限り、必ず芽を出す」とおじさん
中には新芽を待って4年目の鉢も
「開花までに必要な時間は、それぞれだから」
彼の人生も同じでした
2歳で父を亡くし、
15歳で座卓の工場に働きに出たそうです
修行4年間は無給
その後も後輩達の出世を尻目に、苦節が続き、
それでも腐らず、真面目に生きた彼は後年、
工場長として活躍しました
「人一倍の苦労は、全部、肥やしになった」
そう語る彼が、ひときわ美しい花を付けた蘭を
見せてくれました
その蘭の大輪は、彼の人生と
重なって見えた気がします