先生に診察室へ入るように言われた。

部屋に入ると先生の前には胃カメラの写真?らしきものが壁に貼り付けられている。



それを見ながら年配の先生(以下N先生)がこういった。



『大変なことになったね。食道に大きな腫瘍がある。



それが大きいのでカメラが胃まで入らなかったよ。



良性か悪性かわからないけどすぐに取り除く必要がある。



どのくらいの大きさか調べる必要があるからこれからレントゲンを撮ろう。』



この時、僕はどう思ったかというと



『すげぇ。なんこれ?えげつない物があるわ。こりゃ飯が食えんわけや。』



この時、まだ癌だということは1ミリも思わなかった。



とりあえず会社へ遅くなることを伝え、レントゲン室へ向かった。



そして緑の検査用の服に着替え、部屋の前で待った。



『まいった。これを取り除くって言ってもどうやって取るんやろ?



内視鏡で取れるとかなんか聞いたことあるなぁ。』



待っている間、そんなことを考えていた。かなり簡単に考えていた。



5分位して部屋に入るように言われ、バリウムを飲んだ。



レントゲン技師の先生から息を止めたり、炭酸を飲んでなどの指示がある中、



N先生もなぜか中にいて、深刻な顔をして僕を見ている。



レントゲンが終わり、着替えを終え、診察室に戻った。



ここでN先生から衝撃な事実が告げられる。



N先生『(レントゲンを見ながら)ここに腫瘍の大きさが11センチくらいある。



今すぐ大きな病院に行かなければならない。



どこでも紹介状を書いてあげるから。会社は休める?』



僕『明日で会社辞めるので、それは大丈夫なんですけど。



でもあさってからインド行くんで入院とか1ヶ月後からでもいいですか?』



N先生『なにを言ってるの?これは本当に大変なものなんだよ。



こんなに大きな腫瘍は正直まれだ。』



僕『少し考えさせてください。インドはどうしても行かないといけないんです。』



この発言に先生は少し怒った口調で,



N先生『何度言ったらわかるの?生死にかかわることだよ。



はっきり言うけどこれは悪性の可能性が高い。



病理検査をしないと正確なことは言えないけどそれくらい深刻な問題なんだ。



このままほっとくと命も危ないんだよ。半年とか一年とかそれくらいの可能性もあるんだよ。



絶対に大きな病院へ行くように。病理検査の結果が来週にはでるからまた聞きに来てもらえる?



それとその時に紹介状を書いてあげるから、どこの病院がいいか連絡してもらえる?』



僕は先生の迫力に、静かに頷いた。



そして診察室をでた。



診察金額は1万2000円。



高い。。。



衝撃的な事実が告げられ、気持ちに重いパンチを受けたあとに



懐にも重いパンチ。



病院をでて、急に冷静になった。



段々何のことかわからなくなる。






誰の話?






俺のことよね。






悪性の可能性って?






もしかして癌?






ガン?!




病院の前から信号を待っている時に、歩けなくなった。




その場にどれくらいいたのか覚えていない。




『どうしよう。俺死ぬかもしれん。死ぬかも。死にたくない。』




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