職場には仕事柄、様々な人が来ます。
それは主婦であったり、仕事帰りのお父さんだったり、はたまたちょっとやんちゃなお兄さんだったり。
そんな中でも、一際目を引く存在がいる。
それは・・・
頭に何やらのっかってるおじいちゃん。
よく漫画やらアニメやらで、無駄にその部分を強調した画風が見受けられるが、それと遜色ない・・・いや、それどころか現実の方がより顕著に分かるものである。
そう、カツラだ
ちゃんと固定具でロックされてはいるのだろうし、しっかりと根を張ってるのが遠目に見てもよくわかる。
しかし、その人工頭髪の下からはみ出た地毛が、微妙に、あるいははっきりと色が違うため、見事なグラデーションを演出していたりする。
極稀に地肌が見えていたりもする。
そして、後方に微妙にズレている場合もあり、その絶妙なバランス感覚についつい見とれてしまうこともままある。
まさにチラリズム。その危うさと存在感はもはや芸術だ。
そんな人に限って、酷く人の良い、大層にこやかな好々爺然とした風体なのだからたまらない。
もちろん、こちらも満面の笑顔で挨拶を交わす。
しかし、その時の心中。
それは、穏やかと言うには程遠く、むしろ良からぬ妄想を張り巡らしている。
それを表面に出す訳にはいかないため、最高の笑顔で送り出すのだが。
だがしかし、そのおじいちゃん(複数人います)が来るたび、こう願わずにはいられないのだ。
「風よ、吹け」と