著者: 田辺 聖子
タイトル: 孤独な夜のココア

 図書館でふとタイトルに惹かれて借りた文庫(新潮文庫)。ずいぶん古いので、今はもうないかもしれません。田辺聖子さんの本は、9月に『ジョゼと虎と魚たち』を大阪に行ったときに梅田の地下街で買って、すごく良かったので(とは言っても、こちらはまだ表題の短編だけしか読んでないので感想はまた後日)、読むのはこれが2冊目。いわゆるイイ年したOLのせつない話とか、若いコとおじさんの不倫の話とか、今までの私だったら「けっ!」と言って読むのを避けていたであろう類の話でも、この人の、やんわりとした関西弁の会話で進む短編だと、するする読めるから不思議。そして「不倫なんて、あかんあかん! 他人のことでも私は許せない!」と頑なに否定派だった私でも、この人の短編だと「まぁ、それも良しとしますか」という気持ちになってしまう。危ない危ない。年下男にふりまわされる女の話も、どこかもの悲しくも可笑しくて、読んだ後の後味が悪くないというか。いくつかは激しく辛い恋の話もあるけど、それも、なんだかストンとした終わり方なので、独特の世界です。これから、ちょっと何冊か、田辺聖子さんの本、読んでみようかな~。