2009年12月20日

second scene92

テーマ:黄昏はいつも優しくて2

 翌朝、十時をまわったところで篠塚が三木原の執務室に顔をだすと言いだした。
「おまえも一緒に来い」
「ぼくも、ですか」
「第三者がいたほうがいい」
 秘書を連れ添って訪れる。それだけで三木原の逆鱗にふれそうな気がした。
「……わかりました」
 三木原の執務室はおなじ階にあった。篠塚がドアのまえに立ち小さく息つく。やはり緊張しているのだろうか。ドアを睨みノックする。中から「どうぞ」と、しゃがれた声が聞こえてきた。
 篠塚と瞬が中にはいり会釈をすると、三木原が書類から視線をあげ、ぎょろりとした双眸をむけてきた。それが、またたくまに冷眼に変わる。そう、この雰囲気だ。この男はつねに周囲を睥睨(へいげい)するかのように振舞う。
「これは篠塚常務。先日もお電話をいただいたようですな」
「お忙しいところ申し訳ありません。すこし、よろしいでしょうか」
 三木原が大仰に手をふり「まあ、どうぞ」と、ソファをすすめてきた。篠塚が素直にしたがう。どうしようかと迷っていると、篠塚が隣にすわれと目線を送ってきた。瞬が言われたとおり腰をおろす。
「同じ社内で秘書同伴というのは、めずらしいですな」
 三木原が向かいのソファに腰をおろしながら嫌味とも批判ともとれる口調で言ってきた。
「で? 今日はなにか」
「専務は先日、アプリコット社の北沢専務に電話をされましたね」
 三木原がかすかに顔色を変えてきた。
「それが?」
「北沢専務はアプリコット社の持ち株のほとんどを手放すといっておられます」
 三木原が額のあたりに警戒の色をにじませる。だが、それも一瞬のことだった。三木原は足を組むと、くつろいだ様子でソファに背をあずけた。
「ほう……、そうなれば取締役会で決議」
「いえ。北沢専務個人の持ち株ですので、その必要はないでしょう。いずれにしても、会社法には株式売り出しの取締役決議は必ずしも必要なしとあります」
「話が見えないんだが」

「はい。問題はその後です」

 三木原が苛立たしげに腕時計を覗きこんだ。

「もったいぶった話し方をする人だね」
「恐れ入ります。では、かいつまんでお話を。株を手放すと同時に、北沢専務は事が表ざたになるのを覚悟で訴訟を起こすと言っておられます」
 三木原が「訴訟?」と、身を乗りだしてきた。



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