黒剣のクロニカ01//芝村裕吏 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!

 

 

 

 「黒剣のクロニカ01」

 

 芝村裕吏、著    2016年

 

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内容(「BOOK」データベースより)

遙か昔―、高度な文明を誇ったアトランティス大陸が海没したのち、遺民たちが多島海に散らばり、数多の都市国家を形成していた時代。都市国家・コフの貴族“黒剣家”に生まれたフランは、奴隷であった母を父に殺され、陰湿な次兄・オウメスからは虐待を受けながら、難民のみを友として不遇に育った。しかし、勇猛な長兄・トウメスから命じられ、婚姻の使者として赴いた隣市・ヤニアで“小百合家”の二人の姫と出会ったことが、フランの境遇に大きな転機をもたらす。姉で人馬のイルケと、美しさを謳われる妹のオルドネー。フランが彼女たちとともに歩むことを決めたとき、多島海の歴史は新たな道を辿り始める…。いま、幾星霜を経て、失われた年代記が再び語られる―。『マージナル・オペレーション』『遙か凍土のカナン』のタッグが贈る、超巨弾ファンタジー、ここに開幕!

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 都市国家・コフの貴族黒剣家の第三子・フランが主人公のファンタジー。

アトランティス大陸水没後の多島海域が舞台。

主人公は第三子とは言え、奴隷であった母を父に殺され、次兄・オウメスから虐待を受けて生きている。

まあ、ファンタジーにありがちな設定だが、その虐待に性的虐待まで含まれると言う身も蓋もない設定なのが芝村さんらしい。

 

 この時代の貴族は水鏡をのぞく事によりダリドを得る事が出来る。

ダリドは特殊な能力でもあり、異形への変身能力でもある。

黒剣家の長男・トウメスのダリドは人牛、つまりミノタウロスのような姿と怪物的腕力だ。

黒剣家の武はトウメスが担っている。

次兄・オウメスのダリドは不明。

オウメスは頭脳明晰な智謀タイプ。

フランは水鏡をのぞく事が許されておらず、ダリドなし。

 

 その後とある事情でフランは出奔し、隣国ヤニアへ。

この時、黒剣家を見限った重臣イタディスがフランの部下となる。

とある事情のもう一方の当事者であるヤニアの貴族・小百合家の姉妹と協力体制樹立。

姉はケンタウロス型のイケル、妹は鳥に変身出来るオルドネー。

どちらもダリドの力によるものだが、姉は常時ケンタウロス型。

姉はそこそこ可愛くて、妹は絶世の美女。

でも、主人公の好みは人馬のイケル。

 

 間もなくコフとヤニアは戦争に。

主人公は姉妹と共に、怨み重なる黒剣家と戦う事になる。

 

 ファンタジーでラブコメで、なんか身も蓋もない設定なのに明るくて……。

芝村さん、最近ますますノリノリだなあ。

 

 芝村ワールドの主人公は欠陥人間ばかり。

どの主人公も超人じゃないが、マイナスを武器に戦う。

そこが良い。

 

 妙なところに萌え要素。

このあたりも独自で、しかも面白い。

ともかく、芝村作品は面白い。

 

 『黒剣のクロニカ01』。

二冊目にして8月のベスト1決定!

……なんか、一冊目で同じ事を言っていた気がするが、きっと気のせいですよね。

あはははは♪

本当に面白かったです♪♪♪