火星の人
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「火星の人」
アンディ・ウィアー、著 2014年
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内容(「BOOK」データベースより)
有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが―。奇跡的にマークは生きていた!?不毛の惑星に一人残された彼は限られた食料・物資、自らの技術・知識を駆使して生き延びていく。映画「オデッセイ」原作。
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火星にただ一人取り残された男のサバイバル物語。
宇宙人も謎の遺跡も出てこない。
火星版ロビンソン・クルーソー。
主人公はロケット燃料から水素を取り出して酸素と結合させて水を作り出したり、基地内で人糞を肥料にジャガイモを育てたり……。
様々な方法で生存をはかる。
むろん機械のメンテナンスも、環境整備も全て一人でやる。
生き延びるための努力は地味で涙ぐましいものだ。
が。
この物語に暗さはみじんもない。
むしろ、そのトーンは明るい。
何故ならこの主人公の性格がポジティブで明るいものだからだ。
彼は自分が一人火星に取り残されるに至った悲壮な出来事をこう語る━
ぼくは笑える出来事の連続であやうく死にそうになり、もっと笑える出来事の連続で生き残ることができた
(本文より引用)
科学的な叙述も彼にかかれば、なんとも軽妙で楽しいものになり、悲壮な出来事もまるでコメディのようになる。
それでいて物語が薄っぺらなものになるわけではない。
重厚な物語が、軽妙な語り口により軽やかに疾走する。
手に汗を握りつつページを繰る手が止まらない。
こいつは凄い作品だと思う。
『火星の人』。
元々はネット小説であったそうです。
野にはまだまだ逸材が埋もれていると感じさせられました。
本当に、本当に面白かったです♪♪♪