太平//山上龍彦 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
太平/山上 龍彦

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 「太平(たへい)」

 山上龍彦、著。 1993年


 山上龍彦?
そう言えば山上たつひこ氏が小説を書いている
と…。

 漫画家・山上たつひこ氏の『喜劇新思想体系』
は、危なすぎて凄いと思いました。
ここまでやるか…と。

 『がきデカ』も、少年誌という制約の中で、
ギリギリの線まで危険な笑いを追求した作品
だったと思います。

 『怪僧のざらし』もかなり危なかった。
『アルプス犬坊』や『玉鹿市役所・ええじゃない課』
も好き♪

 『半田溶助・シリーズ』も、筒井康隆氏の『アフリ
カの爆弾』を漫画化したものも面白かった♪
勿論、『中春こまわり君』も哀愁が漂っていて好き
でした♪

 要は、山上さんのファンです♪
そう言えば、だからこそ小説を読むのを避けたと
言う事を思い出しました。

 駄目だったら、イメージが壊れるから…。
これもファン心理でしょうか…。

 で、『太平』。
様々なタイプがある山上小説ですが、とりあえず
得意であろうギャグ系の作品をセレクトしました。

 良いではないですか、山上龍彦♪
面白いです。
筒井氏の作風に似ているかな…。

 主人公は柔道家。
参考文献として『実録柔道三国志』を挙げておられ
ますが、私はこれは未読。

 印象的には『姿三四郎』のパロディっぽい作品
だと感じました。

 主人公は求道的でありながら、男女の道にも求道
的という青年。
かつ、思考法はいささか、いや、大いに個性的。

 ライバル道場との抗争を軸にお話は進みます。
途中からはもう、やりたい放題。
熊は投げるし、雪崩と対決するし…。

 まあ、無茶苦茶です。
でも、読ませますね。
上手いです。

 最後は、とめどなくエスカレート。
スラップスティックの極み、カタルシスへと一直線。
ページを捲る手が止まらない。

 予想外に面白かったです♪
良いですね、山上龍彦氏の小説。
今後も読んで行こうと思わせる作品でした。

 楽しみが増えました♪