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「毒草師・QED Another Story」
高田崇史、著。 2007年
QEDシリーズの外伝。
こちらは、毒草師・御名形史紋(みなかたしもん)が主人公
のシリーズ。
『毒草師』とは何か?
結局、本人がそう名乗っているだけで、実体は一切解らない。
この男、何をして食っているのでしょう?
古今東西の薬草・毒草に通じている。
薬剤師なのか? …資格を持っているのか?
無愛想で独善的、極端に無口、社会生活不適合者のような男
です。
「一つ目の鬼を見た」と言い残して、名家・鬼田山(きたやま)
家の人々は施錠された離れから次々と失踪した。 さらに長男・
柊也が毒殺されて捜査は混乱する。そこへ古今東西の薬と毒に
精通する<毒草師>と名乗る御名形が現れ、『伊勢物語』になぞら
えて一族の忌まわしき秘密と真相を暴く。 QEDシリーズ一の
曲者、御名形史紋の推理が冴える!
(裏表紙より引用)
この本は、かおりさんの「虚構と日常」で紹介されていて、
興味を持ったものです。
その折に、私には本編のQEDの方が合うのでは、とアドバイス
して頂いたのがQEDにハマるに至った経緯です。
確かに本編より歴史闇ネタは控えめで、ミステリーに重きを
置いている感じがする作品ですが、これも面白い♪
居丈高で無愛想、無口で表情すら変えない。
およそ主人公たる資質のカケラもないような御名形史紋。
ただし、その知識は薬草のみならず、古典や歴史・民俗学、
博物学に精通している。
さらに、論理的思考による推理能力は極めて高い。
出身地が和歌山であり、名字がみなかたと来れば、南方熊楠に
ちなんだ名前と言うのは明白。
この人間離れしたクールさを持つ男が主人公となれば、場が
持つはずもない。
当然、隣人の西田真規君というお人好しの雑誌編集者がワトソン
役に駆り出される事になる。
西田が狂言回しの役を務める事で、主人公・御名形のキャラ
クターが生きて来る。
しかし、このお人好しのワトソン君は本家と違って、御名形とは
違う経路で犯人にたどり着くのだから、なかなかたいしたもので
ある。
ただし、西田君はやはり凡人。
読みが浅くて、大変な目に遭うのだが、これはこれで本人に
とってはラッキーな出来事でもあったりするのです。
この二人の対比が良い。
ストーリーそのものも面白い。
伊勢物語を巡る考察も興味深い。
お話そのものは、QEDよりも好きです。
ラストシーンも、実に洒落ているので、読後に満足感がありました。
これは、楽しい作品でした♪
しかし、伊勢物語かあ…。
全部読んだ事がないのですよね…。
ああ…、また興味が暴走しそうな予感が…。