「アロマパラノイド 偏執の芳香」
牧野修、著。 1999年。
空腹時に美味そうな臭いを嗅ぐと、実に悩ましい
気分になります。 ことに、肉や魚が焼ける臭いや
醤油の焦げる臭い、パンやケーキの焼ける甘い臭
いなども、実に魅力的♪
焼肉屋やうなぎ屋の前は悩ましいです♪
(妖精さんも、焼肉屋の臭いが好きらしい)
パン屋の臭いも好き♪
しかし、満腹時だと、これが下手をすれば、胸焼け
を起こすようなタマラナイ臭いだと感じたりします。
あるいは、食事をしている時に、香水のキツイ臭い
などを嗅いでもタマラナイ。
(注、食べ物がらみの作品ではありません!)
食欲に関する部分に留まらず、アロマテラピーなど
では、臭いが心理面や体調に影響を及ぼす事が
ある程度確かだと思われている。
かなり、「原始的」な部分に働きかける力があるよう
に思えます。
しかし、それでもなお、「臭い」と言うジャンルはあまり
解明されているとは言い難いように感じます。
この作品はあえて、その「臭い」と言うジャンルに
挑戦したホラーと言えます。
十七年前、パリで猟奇的な連続殺人事件が発生
した。 その残虐な手口から「パリの切り裂きジャック」
と恐れられた犯人は、実は日本人だった― 。
ノンフィクションライターの八辻由紀子は、犯人が殺人
を告白した限定本「レビアタンの顎」を手に入れた。
彼は人並み外れた嗅覚を持ち、「血の芳香」に魅せら
れて殺人を繰り返していたのだという。
この本を手にした時から、由紀子の周りでは不可解な
出来事が続発するようになっていくが― 。
(文庫裏表紙より引用)
そう、「紹介分」は実に正統派ホラーっぽいし、そそり
ます。
しかし、そう単純な作品じゃないんだなあ・・・。
「におい」を情報として読み取り、操る男。
彼は、自分を神と名乗る。
確かに、彼は他人を操る事が出来る。
操られる者たちは、結局「電波系」に成ってゆく。
・・・かなり、キツイなあ・・・。
どうも、乗れませんでした。
まあ、そこそこ面白い部分もあるのだけれど、牧野さん
にしては「イマジネーションの奔流」のような疾走感が無
いのですよねえ。
結果として、どうにも安っぽいなあ・・・。
発想とドラマが上手く結合していないと言うか・・・。
う~ん・・・、ですねえ。
これ、電波系に走らずに、「においに魅せられた男」が
変容して行くと言ったストレートなホラーにした方が面白い
モノになったのでは?
今回は、どうもなあ・・・、と言う感想です。
(PS. どうも「京都」効果もあまり期待できないなあ・・・。
ははは・・・、「検索」に引っ掛かり易いかという実験
だったのですが・・・。(*^_^*))