阿蘭陀すてれん // 都筑道夫 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!


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 「阿蘭陀(おらんだ)すてれん」


 都筑道夫、著。 1977年。



 都筑道夫さんは、早川書房の「エラリー・クイーンズ・

ミステリ・マガジン」の編集長も経験しておられるので、

勿論ミステリはお手の物です。


 しかし、この方は一ジャンルに留まらず、SF、怪奇幻想、

時代物と、エンターテイメントの分野ではほぼ万能の才を

有しておられます。


 その全てが機知に溢れ、洒脱で面白い。

総作品数は、当時、星新一さんに次ぐと言われ、おそらく

全ての作品を読んだ方はいないのではないかと想像され

ます。


 この「阿蘭陀すてれん」は、妖しい系のショート・ショート集

です。 28編収録されているので、全ての作品の感想を書く

のは無理なので、表題作だけを・・・。


 タイトルの阿蘭陀すてれんとは、江戸時代のゲームの道具

で、ルーレットのようなものです。


 主人公とその友人がバーのカウンターで飲んでいます。

友人は今読んでいる本を、あるところまで読むと、どうしてもその

続きが読めないと話す。


 その本はコバルト色の表紙は何も書いてなく、扉を開くと

「阿蘭陀すてれん」 鳴神五郎著、と刷ってある。

どうも、私家本のようだ。


 郷里の死んだ兄嫁が持っていたものらしいと、友人は言う。

主人公が読んで見ると、書きだしから惹きこまれてしまうほど

素晴らしい作品だ。


 その本を友人から借りて帰り、主人公は早速我を忘れて

読み始める。

二ページと読まないうちに、玄関のブザーが鳴り、そこには

友人が立っている。


 やはり、本を返してくれと言う。

それに抗う主人公に、友人は言う。

「きみは何時間ぐらいこの本を読んでいる?」

「三時間かな」


 本を読みなれた主人公が三時間かかって二ページ・・・。

友人はその本の由来などを話始める。

そして言う、「ストーリーなどの問題ではなく、この本は最後

までは読めないのだ」・・・。


 

 本好きの心を刺激するストーリーです。

はっきりとした結論は出ない。

そこがまた、想像力を掻き立てて・・・、たまらんです♪


 で、多分入手困難です♪

古本屋に行くたびに都筑作品を探して見つけた一冊です。

昔、読んだ作品ですが・・・、やはり良い♪


 私、こんなの持ってます♪


 まあ、本を処分しまくる私にとっては、貴重な一冊です。