石ノ目 // 乙一 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
石ノ目/乙一
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 「石ノ目」


 乙一、著。 2000年。



 デジャブ・・・・・・?

以前、読んだような気が・・・・・・。

(T_T)・・・、読んでるよこれ!


 まあ、良いか・・・、もう一回読もう♪


 と言う訳で、せっかく購入したので再読して

見ました♪

年数がたっているので、確かに印象が違う。


 以前は、何作か乙一さんの作品を読んで、

あきたなあ・・・、と思っていましたが、いやいや、

なかなか良いわ、乙一♪



 「石ノ目」 (1999年)


 目を見ると石になる。

日本版メデゥサですね。

石ノ目と呼ばれる魔女の結界に入り込んでしまった

主人公とその同僚。


 意外にも、彼女は「顔を見ない」ことを条件に、

二人を屋敷に滞在させる。

それどころか、傷ついた同僚の治療さえしてくれる。


 庭に林立する石と化した人々。

主人公はこの山で行方不明になった母親が、その中

にいるに違いないと思って探す。


 母親はなかなか見つからない。

石ノ目に恐怖を覚えながら、日々が過ぎて行く。

やがて石ノ目の意外な正体が・・・。


 怖ろしいのは人間の情。

哀しいのは、人の心。

そんな作品。


 「はじめ」(1998年)


 最初はささいな嘘だった。

罪をごまかすために生まれた嘘、「ひよこを殺したのは、

はじめと言う女の子だ」。


 小学生の主人公と友人が教師についた嘘は、あまりに

巧妙であったために、二人にしか見えない「はじめ」を

生み出してしまった。


 はじめの存在は、この町では有名になり、都市伝説を

生み出す。

「架空の少女」はじめと、主人公たちの不思議な交流の

物語。


 存在しないはずの少女と主人公の、切なく美しい

物語。


 「BLUE」(1999年)


 命ある人形と、自閉症の少年の交流の物語。

これは、童話と言うべきでしょうね。

これも、哀しくて美しい物語でした。


 「平面いぬ。」(2000年)


 高校生の女の子が入れた、小さな犬のタトゥは生きて

いる。

彼女の体表面を動き回り、鳴き、えさを食べる。

タトゥ・ポッキーは彼女のペットになった。


 それと時を同じくして彼女が知った、家族の未来。

父・母・弟、家族全てが偶然にも癌で半年後に死んで

しまう!


 限られた時間の中で過ごす家族の風景。

家族との交流、そして「平面犬」とのふれあいを通じて

少女は大切なものを知る。


 悲しみを受け入れて、少女は成長して行く。

切なくて心温まる物語でした。



 乙一さんが「はじめ」を発表したのが19歳の時。

しかし、その年代にありがちな拙さが無い。

確かに、「天才乙一」と呼ばれるのも解ります。


 この年齢にして、自分の小説に対する客観性を

持っている。

そして、柔らかい感性がフルに生かされています。


 甘さはある。 けれど、それも好みの問題か・・・。

しっとりと沁み入る物語。 どれも楽しめました♪

面白い作品でした。