アヒルと鴨のコインロッカー | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)/伊坂 幸太郎
¥680
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 「アヒルと鴨のコインロッカー」


 伊坂幸太郎、著。 2003年。



 ボブ・ディランの「風に吹かれて」・・・、うう、やはり

これは良い。

思い入れのあるアーティストです。



 どれだけ道をたどれば

   認められるのだろう


 どれだけ海を渡れば

   鳩は安らぐのだろう


 どれだけ砲火を潜れば

   争いが尽きるのだろう


 友よ その答えは 風に・・・

   風に舞っている・・・


 と、まあ意訳してみました。

あのシワガレ声で、感情そのものを叩きつける

ように歌うディラン・・・。 良いなあ~。(シミジミ)



 引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔

めいた印象の長身の青年。 初対面だというのに、

彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち

かけてきた。 彼の標的は―たった一冊の

広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気など

なかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガン

を手に書店の裏口に立ってしまったのだ!

 (文庫裏表紙より引用)



 あいかわらず、いきなり奇想天外な場面から

物語が始まる。 話を持ちかけた「河崎」は

かなりエキセントリックな性格のようだ。


 何事も自信たっぷりに断言するこの性格は

「チルドレン」の陣内を思わせます。

この作品も、少し変わった人物ばかりが

登場する物語です。


 この、ぼく=椎名が語り手の「本屋強盗」の

現在と、わたし=琴美が語り手の二年前の

出来事が交互に語られて行きます。


 本屋強盗、ペット連続殺傷事件、それを巡る

主人公たちの行動がストーリーの軸です。

ああ、おまけの小さな姉弟のレッサーパンダ

盗みも本筋には関係ないけれど面白い。


 軽妙な会話、常識はずれの登場人物、意表を

つく出来事の連続。

そして、奇妙で可笑しくて少し哀しい物語。


 私はこの話、好きです。

ボブ・ディランの歌も登場するしね♪