黄金宮 Ⅰ~Ⅳ // 夢枕獏 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!

「黄金宮Ⅰ~Ⅳ」



夢枕獏、著。 1986~1992年。未完。



 今、何冊か読んでいますが、読了は明日以降に

なりそうなので、未完作家の作品などを・・・。

まあ、例の奴の本なのですがね。


 ◎本編の主人公についての覚書



 氏名 地虫 平八郎 (じむし へいはちろう)

 身長 192センチ。

 体重 90キロ。

 職業 ストリッパーのヒモ。他。

 年齢 31歳。

 趣味 詩を書くこと。

 性格 明朗。下品。助平。茫洋として極めて兇暴。

 酒癖 極めて悪質。

 特技 中国拳法。

 性技 極めて巧み。

 愛読書 高村光太郎「智恵子抄」、

      宮沢賢治「銀河鉄道の夜」。


 地虫平八郎とつきあうための三カ条



 一、絶対に金を貸さないこと。

 二、絶対に女を紹介しないこと。

 三、用件は電話で済ませること。



 何とも、ユニークかつ魅力的な主人公なのですよ。

物語は・・・、



 一体の金の勃起仏と一枚の地図・・・それは、アフリカ

の奥地の一大黄金郷に通じる鍵だった!

しかし、黄金仏を持ち帰った探検隊のメンバーは、

追いかけて来た呪術師の怪異な術で次々と消されて

いく・・・。 事件に巻き込まれた街の男・地虫平八郎が

得意の拳法と度胸で巨大な謎と呪術に立ち向かう!

 (ノベルス裏表紙より引用)


 下品で意地汚く約束を守らない男・地虫平八郎が

主人公のスーパー伝奇小説です。

「伝奇」だけでも怪しいのに「スーパー」まで付く、

とんでもない物語。



 黄金を巡って、妖しげなやからがぞろぞろ出て来ます。

物語はやがて、アフリカの魔境へ!

黄金の国マラサンガ王国の、怪異に満ちた起源から、

隠された重大な秘密が明らかになって来る・・・。



 いやはや、大サービスです。

これでもかと広げられた風呂敷!!

面白い!!


 で、未完・・・。

ひょっとして、広げ過ぎて風呂敷をたため無くなったのか?

はたまた、この当時はシリーズが多すぎて、手が回らなく

なって中断したままなのか・・・?



 私の考えでは、もはや再開されることはない。

またもや「未完」で終了・・・。

・・・、何を考えているのだ君は・・・。



 何も考えていないのだあ!!


 ふと面白い話を思いつき、いきあたりばったりで執筆し、

勢いと情念で書きまくり、風呂敷を広げたあげくに

行き詰まるのだ!!

・・・馬鹿だ。


 なまじ、面白かったりするからタチが悪い。

悪い男と知りながら、騙されていると知りながら、それでも

別れられない・・・、みたいな話では無いか!



 まあね、今はさすがに私も熱狂的ファンと言う訳ではない。

しょせん獏は獏。

本を出せば読むけどね。



 あれもこれも、あんたはどうする気でいるのか・・・。

聞いても無駄です。

例えばこの「黄金宮」など、今更続きが書けるはずも無い。


 若く、野望と情熱だけで小説を書いていた頃の作品です。

智恵のついた今の君にはもう書けない・・・、そんな気がします。



 「未完」であることに怒りを感じるよりも、

私は、その事の方が淋しい。

年代が近いせいもある。

デビュー当時の荒削りだがパワフルな季節はもう帰らない。



 作家としての成長は、反面、人生における老成のようなもの。

過ぎ去った季節は、もはや懐かしむしかないのだから・・・。



 ◎夢枕獏作品とつきあうための三カ条



 一、絶対に完結していることを確かめてから読むこと。



 二、絶対に連載作品に完結を求めないこと。



 三、「あとXX巻で完結」を信じないこと。