【閑話休題 その4】
ねずさんの ひとりごとより
「涙の数だけ大きくなれる!」木下晴弘著:フォレスト出版

ひとつのお話をご紹介します。

とても感動的なお話です・・・

【あるレジ打ちの女性】

その女性は、何をしても続かない人でした。

田舎から東京の大学に来て、部活やサークルに入るのは良いのですが、すぐイヤになって、次々と所属を変えていくような人だったのです。

そんな彼女にも、やがて就職の時期がきました。

最初、彼女はメーカー系の企業に就職します。

ところが、仕事が続きません・・・

勤め始めて三ヶ月もしないうちに上司と衝突し、あっという間に辞めてしまいました。

次に選んだ就職先は、物流の会社です。

しかし、入ってみて自分が予想していた仕事とは違う!という理由で、やはり半年ほどで辞めてしまいました。

次に入った会社は、医療事務の仕事でした。

しかしそれも、

「やはりこの仕事じゃない・・・」

と言って、辞めてしまいました。

そうしたことを繰り返しているうち、いつしか彼女の履歴書には、入社と退社の経歴がズラッと並ぶようになっていました。

すると、そういう内容の履歴書では、正社員に雇ってくれる会社が無くなってきます。

ついに彼女は、どこへ行っても正社員として採用してもらえなくなりました。

だからといって生活のためには、働かないわけにはいきません。

田舎の両親は、早く帰って来いと言ってくれます。

しかし、負け犬のようで帰りたくはありません。

結局、彼女は派遣会社に登録しました。

ところが、派遣も勤まりません。

すぐに派遣先の社員とトラブルを起こし、イヤなことがあればその仕事を辞めてしまうのです。

彼女の履歴書には、辞めた派遣先のリストが長々と追加されていきました。

ある日のことです。

例によって「自分には合わない・・・」などと言って、派遣先を辞めてしまった彼女に、新しい仕事先の紹介が届きました。

スーパーで、レジを打つ仕事でした。

当時のレジスターは、今のように読み取りセンサーに商品をかざせば値段が入力できるレジスターではありません。

値段をいちいちキーボードに打ち込まなくてはならず、多少はタイピングの訓練を必要とする仕事でした。

ところが、勤めて一週間もするうち、彼女はレジ打ちに飽きてきました。

ある程度仕事に慣れてきて、

「私はこんな単純作業のためにいるのではない・・・」

と考え始めたのです。

とはいえ、今までさんざん転職を繰り返し、我慢の続かない自分が、彼女自身も嫌いになっていました。

もっと頑張らなければ、もっと耐えなければダメということは、本人にも分かっていたのです。

しかし、どう頑張ってもなぜか続きません。

この時、彼女はとりあえず辞表だけ作ってみたものの、決心をつけかねていました。

するとそこへ、お母さんから電話がかかってきました。

「帰っておいでよ・・・」

受話器の向こうから、お母さんのやさしい声が聞こえてきました。

これで迷いが吹っ切れました。

彼女はアパートを引き払ったら、その足で辞表を出し、田舎に戻るつもりで部屋を片付け始めたのです。

長い東京生活で、荷物の量はかなりのものです。

あれこれ段ボールに詰めていると、机の引き出しの奥から一冊のノートが出てきました。

小さい頃に書き綴った、大切な日記でした。

なくなって、探していたものでした。

パラパラとめくっているうち彼女は、

「私はピアニストになりたい!」

と書かれているページを発見したのです。

そう、彼女の高校時代の夢です。

「そうだ、あの頃の私はピアニストになりたくて、練習をがんばっていたんだ・・・」

彼女は思い出しました。

なぜかピアノの稽古だけは、長く続いていたのです。

しかし、いつの間にかピアニストになる夢はあきらめていました。

彼女は、心から夢を追いかけていた自分を思い出し、日記を見つめたまま、本当に情けなくなりました。

「あんなに希望に燃えていた自分が、今はどうだろうか?

履歴書には、辞めてきた会社がいくつも並ぶだけ。

自分が悪いのはわかっているけど、なんて情けないんだろう。

そして私は、また今の仕事から逃げようとしている・・・」


そして彼女は日記を閉じ、泣きながらお母さんにこう電話したのです。

「お母さん、私もう少しここで頑張る!」

彼女は用意していた辞表を破り、翌日もあの単調なレジ打ちの仕事をするために、スーパーへ出勤して行きました。

ところが、

「二~三日でいいから・・・」

とがんばっていた彼女に、ふとある考えが浮かびます。

「私は昔、ピアノの練習中に何度も何度も弾き間違えたけど、繰り返し弾いているうちに、どのキーがどこにあるかを指が覚えていた。

そうなったら、鍵盤を見ずに楽譜を見るだけで弾けるようになった」


彼女は昔を思い出し、心に決めたのです。

「そうだ、私は私流にレジ打ちを極めてみよう!」

レジは、商品毎に打つボタンがたくさんあります。

彼女はまず、それらの配置をすべて頭に叩込むことにしました。

覚え込んだら、あとは打つ練習です。

彼女はピアノを弾くような気持ちで、レジを打ち始めました。

そして数日のうちに、ものすごいスピードでレジが打てるようになったのです。

すると不思議なことに、これまでレジのボタンだけ見ていた彼女が、今まで見もしなかったところへ目が行くようになりました。

最初に目に映ったのは、お客さんの様子でした。

「ああ、あのお客さん、昨日も来ていたな・・・」

「ちょうどこの時間になったら、子ども連れで来るんだ・・・」


とか、いろいろなことが見えるようになったのです。

それは彼女のひそかな楽しみにもなりました。

相変わらず指は、ピアニストのようにボタンの上を飛び交います。

そうして、いろいろなお客さんを見ているうちに、今度はお客さんの行動パターンや癖に気づいてきたのです。

「この人は、安売りのものを中心に買う・・・」

とか、

「この人は、いつも店が閉まる間際に来る・・・」

とか、

「この人は、高いものしか買わない・・・」

とかがわかるのです。

そんなある日、いつも期限切れ間近の安い物ばかり買うおばあちゃんが、5000円もする尾頭付きの立派なタイをカゴに入れてレジへ持ってきました。

彼女はビックリして、思わずおばあちゃんに話しかけました。

「今日は何か良いことがあったんですか?」

おばあちゃんは、彼女ににっこりと顔を向けて言いました。

「孫がね、水泳の賞を取ったんだよ。

今日はそのお祝いなんだよ。

いいだろう、このタイ!」


と話すのです。

「いいですね、おめでとうございます!」

嬉しくなった彼女の口から、自然に祝福の言葉が飛び出しました。

お客さんとコミュニケーションをとることが楽しくなったのは、これがきっかけでした。

いつしか彼女は、レジに来るお客さんの顔をすっかり覚えてしまい、名前まで一致するようになりました。

「〇〇さん、今日はこのチョコレートですか?

でも今日は、あちらにもっと安いチョコレートが出てますよ!」

「今日はマグロより、カツオのほうがいいわよ!」


などと言ってあげるようになったのです。

レジに並んでいたお客さんも応えます。

「いいこと言ってくれたわ・・・今から換えてくるわ!」

そう言って、コミュニケーションをとり始めたのです。

彼女は、だんだんこの仕事が楽しくなってきました。

そんなある日のことでした。

「今日はすごく忙しい・・・」

と思いながら、彼女はいつものようにお客さんとの会話を楽しみつつレジを打っていました。

すると、店内放送が響きました。

「本日は大変混み合いまして、大変申し訳ございません。

どうぞ空いているレジにお回りください!」


ところが、わずかな間をおいて、また放送が入ります。

「本日は混み合いまして、大変申し訳ありません。

重ねて申し上げますが、どうぞ空いているレジのほうへお回りください!」


そして三回目・・・

同じ放送が聞こえてきた時に、初めて彼女はおかしいと気づき、周りを見渡して驚きました。

どうしたことか、五つのレジが全部空いているのに、お客さんは自分のレジにしか並んでいなかったのです。

店長が、慌てて駆け寄ってきます。

そしてお客さんに、

「どうぞ空いている、あちらのレジへお回りください!」

と言った、その時です・・・

お客さんは、店長に言いました。

「放っておいてちょうだい!

私はここへ、買い物に来てるんじゃない。

あの人としゃべりに来てるんだ。

だから、このレジじゃないとイヤなんだ!」


その瞬間、レジ打ちの女性はワッと泣き崩れました。

お客さんが、店長に言いました。

「そうそう!私たちはこの人と話をするのが楽しみで来てるんだ。

今日の特売は、ほかのスーパーでもやってるよ。

だけど私は、このおねえさんと話をするためにここへ来ているんだ。

だから、このレジに並ばせておくれよ!」


彼女はポロポロと泣き崩れたまま、レジを打つことができませんでした。

仕事というのは、これほど素晴らしいものなのだと初めて気付きました。

すでに彼女は、昔の自分ではなくなっていたのです。

それから彼女は、レジの主任になって新人教育に携わりました。

彼女から教えられたスタッフは、仕事の素晴らしさを感じながら、お客さんと楽しく会話していることでしょう。

木下晴弘「涙の数だけ大きくなれる!」フォレスト出版より

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このお話は、Facebookで拾ったお話です。

http://1minute.raindrop.jp/?p=5100

素晴らしいお話ですね。

西欧においては、仕事というのは、に与えられた罰なのだそうです。

エデンを追放された際、は男性には労働の苦しみを、女性には出産の苦しみをお与えたもうた。

けれど日本では、働くことは「傍」「楽」にすること。

「傍楽」ことだと教えられます。

昨今では、仕事をすること=いい給料をもらって稼ぐこと、経済的価値が仕事の価値と教わるけれど、そうじゃなくて、より良い仕事をすることそのものに価値を見いだし、それを人の道としてきたのが、神代の昔からの日本社会の伝統です。

だから、銭金の問題じゃない。

いい仕事をすることが、大切なことなのだと教えられた。

そしてそうした傍楽人々を、社会全体で守っていこうとした。

戦後の日本社会は、なんでもかんでも銭金でコトを図ろうとする傾向があるけれど、それこそが幼稚な発想だと、あえて決めつけさせていただきたいと思います。

いまいるその場所で、勝利する。

いまいるその場所で、自分を成長させる。

まわりのみんなの役に立つ。


もちろん、お金は大切です。

けれどお金以上に大切なものが、この世にはあるのだということを、あらためて思います。

このブログでご紹介している先人たちは、誰もが銭金じゃなく、人として、人の道を追求された方々です。

そういう先人たちに倣っていきたいと思います。

ねずさんの ひとりごとより

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