福島市のふるさと除染計画には、大気中に放射性物質は飛散していないと明記されています。故に、学校等でも屋外活動が再開されています。

しかし、復興予算の申請の過程で、福島市は大気中に放射歳物質が飛散している事を心配する声がある為に、3億5000万円かけて公園に屋根と芝生を設置する事業を手がけています。


結局、放射性物質は空気中に飛散しているのでしょうか?

福島市で生活する上で、放射性物質がどれだけ飛散しているか?のデータを公表しているのは、福島県原子力センター(福島市方木田)。


定時降下物測定とダストサンプラによる二種類の計測が行われており、定時降下物の計測用の容器(タライ)は三階建ての建物の屋上に設置されています。

ダストサンプラは、原子力センター敷地内の建屋入口付近で計測されており、風通りもそれほど良い場所とは言えません。

定時降下物、ダストサンプラ両方のデータは概ね『検出せず』の状況にあります。

定点観測という意味では有用なデータですが…


しかし、生活に密接した箇所で、例えば学校の敷地内で、どれだけ計測されるか?実際にやってみてデータを公表すべきという提案をしてきましたが、残念ながら実現していません。

三階の屋上じゃなくて、子どもが呼吸する高さでどれくらい飛散しているのか?が問題であるし、そこが重要だと思います。

一地点を測定して福島市全体が『安全』とされ…わからない事が多い中でも『安全』という言葉が平気で使用されています。



以下、福島市議会平成25年9月定例会の討論です。

農政部所管「子どもの元気アップ推進事業費中、四季の里屋根付き運動場整備費3億5000万円について。


提案理由に「子どもたちが屋外で元気に遊ぶ機会を提供するため」とされているが、四季の里の除染が行われている現状で、除染後であっても新たに屋根付きの運動場を整備する意図を伺ったところ、当局の答弁は、

「雨天や炎天下などの天候に左右されること無く、屋外で元気に遊べる施設を整備することでより多くの運動機会を子供たちに提供するものである。」とのことでありました。


経済民生常任委員会では、更に審議を深め、福島市のHPに掲載されている。福島市が内閣総理大臣宛に申請した定住緊急支援事業計画の事業等個票には、計画目標として「天候に左右されない運動場として屋根付き・人工芝張りの運動場を整備」し、運動機会の増加を図ることを目標としており、追記に四季の里では「従来も行っている雪の滑り台などを行うとともに、指導者によるスポーツ教室を行うことでその効果を向上させる予定」との記載があるが、計画を読むだけでも首を傾げたくなる要素が含まれています。


例えば、「従来も行っている雪の滑り台などを行うとともに」という記載は、主な事業として記載されているイベントが運動場整備に関連性がありません。「天候に左右されない運動場の整備」という記載は、そもそも福島の子ども達は、天候が悪くて、遊具が少なくて、運動不足に陥っているわけでは断じてない訳であります。


福島市内でも比較的低線量な西地区荒井の農村マニュファクチャー公園こと「四季の里」をより安全・安心を深める為に除染を実施し、ふるさと除染計画<第2版>記載の「将来的には、推定年間追加被ばく線量を、法の基本方針に基づき、年間1mSv(0.23μSv/時)以下するという目標は四季の里HPでの広報では、既に達成している訳であり、原子力災害による放射線影響の不安の解消を唄っていながら、環境放射線量に起因しない施設の整備は、事業計画の段階で成立していないことは明らかであります。


更に、定住緊急支援事業計画の事業等個票には、屋根付き運動場(人工芝)を整備することにより、降雨により大気中のちり、ほこりに含ま

れていた放射性物質が一時的に地表に集まることから、これを心配する声もある中、天候に左右されず、また、素足でも長い時間の外遊びを可能とするものであり、放射線への不安を払しょくし、子どもの運動機会の確保に寄与するものと考える。という記載も大問題です。


 ふるさと除染計画<第2版>の2ページ目、「福島市内における放射線量等の状況」の「大気中の放射性物質」に関する項目には、文科省発表の大気中ダストサンプリング測定によると、平成23年7月現在、放射性物質を含んだ塵は、市内の大気中でほとんど検出されなくなってきています。よって、現在検出されている放射線は、地面や木々の葉などに残っている放射性物質から放たれているものと考えられます。と記載されており、ふるさと除染計画の記載内容からも逸脱した申請内容となっております。


更には、市内方木田の福島県原子力センターで計測されている定時降下物環境放射能測定は、過去6ヶ月の計測値から、最大で3月13日~3月14日の期間で、Cs-134は53.5MBq/km2、Cs-137は109MBq/km2程度。Bq/m2という単位からμSv/hに換算すると、0.00057μSv/hであるから、ゼロではないが、特別騒ぐレベルではありません。


果たして、何を根拠にした不安に対する施設の整備なのでしょうか?


本来、福島市が採るべき施策は、大気中の放射性物質の心配に対して、震災以降蓄積しているデータを基に安全性を訴えるべきであり、根拠のない不安要素は自信を持って、取り除く努力をすべきであり、明らかに政策に一貫性を欠いています。

 

あるべきは、傾向的に低下している能力を向上させる為のハード整備や運動能力を向上

させるソフト面での取り組みの充実であり、特に、ボール投げやシャトルランといった

項目の能力向上は、子供たちへのソフト面の機会創出が必要であると考えます。


復興庁予算を使用した福島市の公園整備事業が、そもそも低線量である西地区に加え、園内の除染を行い、除染計画の目標値である0.23μSv/hを下回っているにも関らず、空気中の放射線物質のリスクに対して、国の財源を使用して屋根を付けるという事業を選択しなければならないということは、幼稚園・保育園・学校の屋外活動を再開した理由がそもそも壊れてしまわないでしょうか? 今回の事業計画は見直されるべきです。


復興庁の「福島定住等緊急支援交付金」の事業レビューシートの評価ポイントには

一つ目に・広く国民のニーズがあり、優先度が高い事業であるか?
二つ目に・国が実施すべき事業であるか、地方自治体、民間等に委ねるべき事業となっていないか?


という記載がありますが、この2点本当にクリアされてますか?


少なくとも私には、本事業は、福島定住等緊急支援交付金を使用するべき事業ではなく、復興予算の使途には相応しくないと判断し、本議案を反対させて頂きます。