北朝鮮の核実験について、いくつか気になった文章にコメントしたいと思います。

Foreign Policyに韓国の大学で働いているロシア人のアンドレイ・ランコフという人が今回の北朝鮮の核実験について評論しています。結論部分を意訳してみました。

「もうはっきりしたことを受け入れなければならない。北朝鮮は核を持つことに成功したのだ。平壌がさらにその核能力を発展させる前に、西側は北のリーダーと話し合わなければならない。目標は、核軍縮交渉である。別の言葉でいえば、非核化はあきらめて、軍備交渉を唯一の目標にすることである。

しかしながら、そのような交渉になんの期待も持つべきでは無い、というのもこれまで北朝鮮は、交渉相手を騙してきたしこれからも騙すだろう。平壌は援助を獲得することで合意を受け入れるかもしれない。これは良い妥協でないかもしれない。しかし、残っているものでは最善の策だ。」

おそらくこの人の言うことが正しいのかもしれません。ただ相手がこれからも約束を破るとわかっていてまた合意を結ぼうとする人がいるのでしょうか。

北朝鮮を核保有国として認めることは、アメリカン・エンタープライズ・インスティチュートのマイケル・オースリンも主張していましたが、果たしてオバマ大統領にそのような決定ができるのでしょうか。

なぜなら、オバマ大統領は核の無い世界を主張し、それを根拠にイランが核を保有することを「受け入れられない」と何度も明らかにしているのです。

そのような時に、北朝鮮を核保有国として認めることが可能だとは私には思えません。民主党系のジョセフ・ナイなども北朝鮮を核保有国として認めないと言明しています。

日本の国会で話題になった金融制裁はどうでしょう。確かに、これは効果がありましたが、さらに朝鮮半島事情を緊張させると考えてアメリカはやらないでしょう。

残された選択は、今回の北朝鮮の核実験を「無視する」ことぐらいしか残っていないのが私の結論です。

スティーブン・ウォルト教授もtwitterにこう書いていました。

What if North Korea held a nuclear test and nobody cared?