贈与税の申告①(申告が必要な方) | 体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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皆さんは、平成23年度中に贈与を受けておられませんか?


 今週は、贈与税の申告について書きたいと思います。予定としては以下のとおりです。

申告が必要な方

 暦年課税

 相続時精算課税

 提出期間と提出先

 贈与税の納付

 

 初回の今日は、①の申告が必要な方についてです。


平成2311日から平成231231日までの1年間に財産の贈与(法人からの贈与を除く。)を受けた個人は、その贈与を受けた財産について、以下のケースに応じて贈与税の申告をしなければなりません。

a) 暦年課税を適用する場合には、その財産の価額の合計額が基礎控除額

 (110 万円)を超えるとき

b) 相続時精算課税を適用するとき

 暦年課税および相続時精算課税については、明日以降書きたいと思います。

 

 ここで、贈与税がかかる財産は、①贈与を受けた財産および②贈与を受けたものとみなされる財産です。


 贈与を受けた財産

贈与を受けた財産とは、「あげましょう」「もらいましょう」という当事者間の契約により取得した土地、家屋、立木、事業(農業)用財産、有価証券、家庭用財産、貴金属、宝石、書画・骨とう、預貯金、現金などの一切の財産です。


契約は、必ずしも書面は必要ではなく、口頭でも成立しますが、後々のトラブル回避のために書面を残しておくことをオススメします。


以下のような点に留意すべきです。

例えば、親の財産を無償で子の名義に変更した場合など、無償で不動産や有価証券などの財産の名義を変更した場合に、原則として、新たに名義人となった人が、その財産を贈与によって取得したものとされます。


例えば、親が買い入れた不動産を子の名義で登記した場合など、買い入れた不動産や有価証券などの財産の名義を他人名義にした場合に、原則として、その名義人となった人が、その取得資金を贈与によって取得したものとされます。


子や孫が、不動産を取得するために親や祖父母から資金の援助を受けた場合に、その援助が贈与であるときはもちろん、その援助が貸借の形式をとっていても、その返済が「出世払い」や「ある時払いの催促なし」のように、実質的に贈与と認められるものであるときは、その資金を贈与によって取得したものとされます。


共働き夫婦が、不動産を取得し、夫または妻のどちらか一方の名義にした場合に、名義人となった人は、不動産の取得に充てた資金のうち他の一方の人が負担した部分を、その人から贈与によって取得したものとされます。


 贈与を受けたものとみなされる財産

贈与を受けた財産ではなくても、以下の財産または利益は、贈与によって取得したものとみなされます(いわゆるみなし贈与)。


1 委託者以外の人を受益者とする信託が行われた場合の信託受益権

2 保険料を負担した人以外の人が受け取った保険金(相続税が課税される保険金は除く。)

3 掛金や保険料を負担した人以外の人が定期金の給付を受けることとなった場合の定期金の受給権

4 著しく低い価額で財産を譲り受けたことによる利益

5 債務の免除、引受け等を受けたことによる利益

6 1 から5 までに掲げる財産または利益以外の経済的な利益


 贈与税がかからない財産

贈与を受けた財産でも、以下の財産には贈与税はかかりません。


1 法人から贈与を受けた財産(贈与税ではなく所得税がかかる。)

2扶養義務者相互間で教育費や生活費に充てるために贈与を受けた財産で通常必要と認められる範囲内のもの

3宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う人で一定の要件に該当する人が、贈与を受けた財産で、その公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの

4学術に関する顕著な貢献を表彰するものとしてまたは顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして財務大臣の指定する特定の公益信託から交付された金品で財務大臣の指定するもの

5 学生や生徒に対する学資の支給を行うことを目的とする特定の公益信託から交付された金品

6 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権

7国会議員、地方公共団体の議会の議員、都道府県知事及び市町村長の選挙の候補者が、選挙運動に関して贈与を受けた金品などで、選挙管理委員会に報告されたもの

8相続または遺贈によって財産を取得した人が、その相続のあった年にその被相続人から贈与を受けた財産で、特定贈与財産に該当しないもの(贈与税ではなく相続税がかかる。)

9 社交上の香典や贈答品などで常識的な範囲内のもの

10 特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権の価額のうち6,000 万円までの部分

11 住宅取得等資金の非課税制度の適用を受ける金銭


ここで、特定贈与財産とは、贈与時において被相続人との婚姻期間が20年以上であるその被相続人の配偶者(既に被相続人からの贈与について贈与税の配偶者控除の特例の適用を受けたことがない人に限る。)が、その被相続人から贈与を受けた居住用不動産または金銭のうち、贈与税の配偶者控除の特例の適用があるものとした場合に、控除されることとなる金額(2,000 万円が限度となる。)に相当する部分として、相続税の申告書において選択する部分をいいます。

なお、この特定贈与財産については、贈与税がかからない財産には含まれませんので、税額が発生しないとしても贈与税の申告をしなければならないことにはご留意下さい。


贈与税がかかるかかからないか、お分かりいただけましたか?