「花とアリス」 | こだわりの館blog版
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特集【日本映画を語ろう!】
途中【劇場公開作品より】ということで寄り道をいたしましたが
今週は、もとに戻しまして【今の日本映画を語るに欠かせない3監督】
3人目の岩井俊二監督作品特集であります。
本日は昨年公開の岩井俊二の現在のところの最新作「花とアリス」であります。
んー、いかにも岩井俊二好みのメルヘンな世界でありましたなぁ。
【今の日本映画を語るに欠かせない3監督】
③岩井俊二監督作品第1弾
2004年劇場公開
脚本・音楽:岩井俊二
出演:鈴木杏、蒼井優、郭智博、相田翔子、阿部寛、他
岩井俊二のフィルモグラフィを眺めていると、
この映像作家は、メルヘンチックなファンタジーと現実をシニカルにとらえた厳しい作品とを
まるで2重人格者のごとくに交互に発表しているんですね。
例えば「Love Letter(1995・メルヘン)」の後には「PicNic(1996・シニカル)」。
「スワロウテイル(1996・シニカル)」の後には「四月物語(1998・メルヘン)」。
と、いうことは本作の「花とアリス」は
“いじめ問題”を真正面から取上げたシニカルな「リリイ・シュシュのすべて(2001)」の
対極的な作品となるわけで、
ここまできれいに2つの顔が分かれていると、
どっちが本当なの?と勘ぐりたくもなりますが、
きっとこの相反する両方とも岩井俊二の本質なのでしょう。
幼なじみのハナ(鈴木杏)とアリス(蒼井優)。
ハナは落語研究会に所属する高校生・宮本(郭智博)に一目惚れ。
同じ部活に所属し、なんとか宮本に近づこうとするハナ。
そしてある日、宮本の帰宅の後を追っていたハナは
誤って壁に頭をぶつけ心神した宮本を介抱し、
そこで宮本と自分は付き合っていたと嘘をつく。
腑に落ちない宮本だったが、これを機会にハナは宮本と急接近する。
しかし、やがてその嘘がバレそうになり、さらに嘘をつくはめに。
しかもその嘘がきっかけで宮本が今度はアリスに恋心を抱いてしまい…。
本当にこう文章で書いていると
三十路の男(私)は思わず赤面してしまうほどのメルヘンチックな世界。
「花とゆめ」か、「マーガレット」かといった感じ。
公開当時、岩井俊二の最新作ということで劇場まで見に行ってしまったことすら
赤面の対象となってしまいますね。
(しかも見に行ったのはひとりで!)
しかし文章上では思わず赤面の本作も、
岩井俊二の洗練された演出と美しすぎるほどの透明な映像で見せられると
本当にイヤ味がなく、すんなりそのメルヘンな世界に身を委ねてしまうから不思議なモンです。
また主役の2人・鈴木杏と蒼井優の自然体な好演もイヤ味のない世界に一役買っており、
この2人がその後見事なまでに“売れっ子”になっていったのですから、さすが岩井俊二。
「Love Letter」の中山美穂、「四月物語」の松たか子と、
岩井俊二のメルヘンの世界には、
主演女優、つまり女神(ミューズ)の存在が不可欠であり、
本作でも女神(ミューズ)を描くその手腕は充分健在でありました。
しかし、この作品。
この内容で2時間超はチト長すぎ。
なんでも元々はネット配信でのショートフィルムからのスタートであり、
本作はそのエピソードの集合体らしいのです。
ですから無駄で唐突なエピソードが多すぎなんですね。
もっともっと編集して無駄を省いて1時間半くらいの作品にまとめてくれたら
いかにも“岩井俊二のメルヘン”を代表する小品になりえたであろうに、
ここが非常に残念な作品ではあります。
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