次男の憂鬱 | Minahei

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ライター戸塚美奈のブログです。

夏休み中のこと。


合宿前日夜8時をまわり、やっとこさ明日の準備を始めた我が家の長男次男。

でも準備なんて手慣れたもの、


「持ち物リストなんかなくても完璧だぜ」


と豪語する長男。

あとは母ちゃんがチームホームページにアップされている「合宿の栞」をプリントするだけ……が。ファイルの容量が大きいのか、何度やってもパソコンが固まってプリントできない!!!

「悪いんだけどさ……、Iんちに頼んで、プリントアウトしてもらえない?」

「ダメ、あいつんち、パソコン壊れてるから、事前にプリント受け取ってるもん」

「じゃあ、しょうがない、この時間だけど、コーチにプリントしてくださいって頼んで」

「わかった」

長男ピコピコとメールを打ちます。

3分後、長男の携帯に着信音。


「オレ怒られた。『これからは2日前に準備しろ』だって」

プリントアウトはやってもらえるようで、とりあえずよかった。とほっとしたのもつかの間、次男の分もあることを思い出しました。

「ね、D(次男の名)の分も頼んでくれた?」

「ううん、自分のだけ」

しょうがない。次男の分は次男にお願いさせなければ。


(次男)「えー、オレも怒られるじゃん! あ~、なんて書いたらいいんだよ~!? ええっと、なんて書けばいいんだよう。『遅くなって申し訳ありません、……』」


母の指導どおり、神妙な顔で携帯を操作する次男。

数分後。

着信があったはずなのに顔色も変えずにゲームをする次男に、長男、


「おい、お前、コーチからメール来た?」

「ウン、もうお前の分やってあるよ、って。兄弟だから必要だろうって、先にやってくれたんだと思う♪」

「怒られた?」

「ううん、べつに」

「ちぇ、なんでオレだけ怒られるんだよー!」

フェアでメンバー全員に厳しいコーチだけど、やっぱり次男の方には甘いんだぁ。

家でもオレのほうが怒られるのに、なんでコーチにまで、と不満そうな長男。そこで長男に一言。

「厳しくされたのは、キャプテンだからでしょ?」

「ま、オレは、自覚してるけどね」

長男と次男、たった一学年違い。実質2年違うのでしょうがないけど、どうしても一緒にいる場では周囲の扱い方にも差が出てくるんですよね。

まだ長男次男が2、3年生の時のこと。

サッカーの練習に手伝いに来てくれたよその強いチームのコーチが練習を見てくれたのですが、別れ際にうちの兄弟に言った言葉。


まず長男に、

「G(長男の名)、お前はうまい。でももっと周りを見て周りを使うようにしてみろ。そうしたらもっとうまくなる!」

と。

「はいっ」

と真剣に返す長男。


その後、次男が、「さようなら、ありがとうございました」とそのコーチに声をかけると、

さっきとは打って変わった猫なで声で、


「Dちゃ~ん(次男の名)、また一緒にサッカーしようねぇ~」

そこまで違うか~? 


それを思い出してしまった。

しかしなぁ。

もしかしたら、こうした積み重ねで次男に甘え癖がついてしまったのかもしれないなぁ。

サッカーでは長男に絶対かなわない次男。

誰が見てもそう思うし、自分でもわかっているんです。

比べられるのが嫌だろうと思って、何度も何度も別なスポーツに誘ったのに、絶対にサッカーがいいと貫いてきた次男。

同じように兄弟がサッカーをしているサッカーママ友のNさんに、

「なんでだろう? どうしてわざと比べられるところにいるのかな? 勝てるわけないのに」

と言ったら、


「お兄ちゃんのことが大好きなんじゃないのかなぁ」

って。

もしかしたら、大好きで、憧れの存在である兄の側にいたい、兄の威を借り、そこで、少し甘えた立場でいる自分に、ちょっと心地よさも感じているのかもしれない。


微妙な力の差なら、ストレスもたまるかもしれないけど、あきらかな力の差があるために、ストレスにもならないのかもしれない。

でも。

じつは、ここのとこ、次男はスランプ。

今までのようなキャラが成り立たなくなってきたんです。

兄とセットではなくなって、独立した個人のメンバーとして扱われるようになってきた。

しかもジュニアユースのリーグではU13は2チーム登録です。


去年は秘密兵器のつもりのベンチ君で中央大会も行けたけど、そうではなくて、1年のBチームの方のセンターバックとして、コーチにもチームのみんなにも厳しい要求をされるようになってきた。


しかも、

Bチームは4月から入った新メンバー。最初はなかなかボールが回らないチームを、次男がリーダーとして引っ張って来たけど、じつは新メンバーは伸びしろのかたまりだったらしい。

Sコーチの教えを砂に水がしみこむように理解し、夏以降、急激に成長してきたんです。


なのに、次男は相変わらず……。


試合で私がため息をつく回数が増えるばかり。


でもね、

サッカー以外には、次男にはものすごくいいところ一杯あるんですよ。

勉強だって、秀才君じゃないけど、それなりにまじめにやってるし、料理は手伝ってくれるし、庭仕事や掃除などの根気のいる作業は集中して最後までやり抜く。(兄はぜんぜんだめ。)

こないだなんか、山ほどの栗の皮をみんな剥いてくれました。

そうそう、ウイイレも、長男は次男に勝てません。

ゲームの攻略法も、次男はどんどん自分で攻略本やネットを調べてクリアしていくんです。

長男は次男に「どうやんの?」と聞くだけ。

だからね、

社会に出て、実際に働くとなったら、いい仕事できるんじゃないかな?

とは母は思っているんです。

だから、なおさら、

「いったい、なんのためにサッカーやってんのよぉ~」

って、悲しくなってしまう時がある……。

そのもろもろについて、少し、『ジュニサカ』ブログにも書いちゃってるんですが。

そこであまりつきつめるのもなんなんで、っていうか長くなるんで、

ちょっと自分のブログでガス抜きしてみた。

別に、サッカー選手になるためにサッカーやってるわけじゃないし。

うまくならないから辞めなきゃいけないわけでもない。

でも、サッカーやる意義を、次男は今失いかけてる。

モチベーションをどこに見出すのか?

部活だったら、「偏差値のため」ってわかりやすい意義があるんだけどねぇ。

女の子にもてるためでも、ストレス解消のためでもなんでもいい、

自分で納得できる何かをつかんでほしい。

まさに、

「子どもたちはサッカーで何を学ぶのか?」

私の命題の問題になってしまったんだなあ。

何か答えが見つかるといいです。いや、必ず見つかるはずです。