メロキュン企画第九弾!後編 | みむのブログ

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こちらはス/キップ/ビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全なる個人の妄想から産まれた駄文ですので、もちろん出版社等は全く関係ありません。
勢いで書いていますので時代考証等していません。素人が書く物と割り切ってゆるーく読んでください。

メロキュン企画第九弾‼

メロキュンカフェバー☆オープン!


フォンダンショコラ
~甘さも苦さも君次第~

後編です。
相変わらず、切り方が下手くそだ…。長い後編。





慌てて向けた先にキラキラしい笑顔を見つけて、キョーコは盛大に顔を引きつらせた。

「は…え…⁉」

目の前の、湯気をあげるコーヒーと蓮の顔を見比べる。

「で?久々の二人でのディナーをないがしろにされた俺に、何か言う事は?」

すでに綺麗になっている蓮のお皿を見て、事態をようやく把握したキョーコが箸を置いて謝った。

「ご、ごめんなさい。」

「うん。謝られるより、理由を教えてもらえた方が嬉しいなぁ。」

コーヒーを飲みながら首を傾げる蓮に、キョーコが「ううう」と唸った。

「渾身のボケには突っ込んでもらえないし」

「は…?敦賀さんが、ボケ…?」

「ドレッシングをかけてあげてもお礼も言ってもらえないし」

「えっ…⁉あっ…‼」

自分のサラダを確認してキョーコが目を丸くした。

「俺と目を合わせてくれないし、ネギはつながってるし?」

キョーコはぐうの音も出ない。

「俺は大いに傷つきました」

まったく傷ついていない顔で、にこにこ笑って蓮が言う。

キョーコもわかっている。彼は大して怒っていないし、傷ついてもいない。
心ここにあらずで会話が成り立たなかったことはともかく、最後のネギのくだりは絶対にどうでもいいと思っているはずだ。
ネギがつながっていようが、冷凍だろうがコンビニ弁当だろうが、彼は気にしない。

「理由を聞かせてもらう権利はあると思うな。」

「つ、敦賀さん。謝りますから、何回でも謝りますから、……黙秘というわけには」

「うん?なんだって?」

キュラリキュラリラキュラリスト

出てしまった三段活用…‼

あわわ…と青くなるキョーコの前で、コーヒーも飲み干すと、蓮は大きく溜息をついた。

「最上さん、早く吐いた方が身のためですよ。」

蓮は長い脚を組み、身体をやや斜めにしてテーブルに片腕を置いた。

「あ、あはは…。敦賀さん、最近刑事さんの役なんかやったり…」

「最近じゃないけど、やったよ。」

「さようで…。道理でどうに入っていらっしゃる…。」

「別に、刑事さんと容疑者ごっこをするつもりはないよ。そっちがその気なら、こちらにも考えがあります。」

そう言って立ち上がると、蓮はキョーコの横に腰をおろした。
毛足の長い絨毯の上をずって後ずさろうとするキョーコの細い腰を難なくとらえると、やや強引に引き寄せた。

「君の口を割らせるには、刑事なんか装う必要はないよね…?」

名人が丹精込めて創り上げた人形の様に美しい顔に、生々しい色を載せて、蓮が囁いた。

「役名なんて必要ない。俺が君に許してもらってる、恋人って立場があれば充分だよ。…ね、キョーコ」

甘い甘い、けれど微かに毒を含ませたような声に、キョーコの顔がみるみるうちに紅く染まる。

大きな手が腰をさらい、長い腕が身体に巻きつく。

「ううう…い、言えませ」

「教えて?君の心を占めているのは、何?」

言いながら、耳の後ろに吸い付けば、跳ね上がる肩。
細い腰を撫であげ、唇を滑らかな首に移動させ、甘い甘い彼女の香りを吸い込んだ。
甘い感触に、香りに、陶酔しそうになる心を、あえて律した。
今は目的があるから。しかし、予想を裏切って彼女は口を割らない。
いつもなら飛び上がって避難して、子うさぎの様に身を小さくするか、目を回しながらも何やら言い訳をして空気を壊そうとするのに。
今日のキョーコはそれをせず、まるで耐えるかの様に腕の中で小さくなっている。

(耐えるように、か…。)

細い首から唇を離して、蓮は小さく息をついた。
そこまで言いたくないのか。彼女が弁明すらしないほどに。
腕の中で小リスの様に身を震わせている姿を見ると、蓮のズルい気持ちが顔を出す。

「…君が、困ってないなら、いいよ」

寛容な大人の男を装った、物分りがいい敦賀蓮になる。

だって、彼女に嫌われたくない。

それ位なら、少し位の我慢、してやろうじゃないか。
これは何も寛容なわけではない。波風を立てるのを怖がって、日和っただけだ。
腕の中の彼女を解放する。

「困った事があるなら、言って。君の、力になりたい。…コーヒー冷めちゃったね。入れ直そうか。…それとも、今日はもう、帰る…?」

言って立ち上がりかけた蓮の袖を、キョーコが思いがけない力で引いた。

思いがけない反撃に態勢を崩して床に着いてしまった腕を、逃さぬようなキョーコが抱きしめてきたので、蓮は目を丸くした。

「どう…」

「ごめんなさい…!違うんです、言えないのは、信用してないとか、そんなんじゃなくて…!」

どうしたの、という問いにかぶさる様に彼女が言い募る、そのいつにない必死さに、蓮は目を瞠った。
腕に当たる柔らかな感触も気になるが、腕を引く前に、彼女が下から身を乗り出して顔を覗き込んでくるので叶わない。

「ごめんなさい…可愛い態度も取れなくて、質問にすら答えないで。ごめんなさい言いますから、敦賀さん…帰れなんて言わないで…」

うっすら浮かんだ彼女の涙に、滑稽な程に動揺した。帰れなんて言ってない、と言う反論は、次の彼女の言葉のせいで、喉の奥に凍りついた。

「ごめんなさい…私のこと、嫌いになりました…?」

疑問の形をとった声は、かわいそうな位に不安に揺れていた。

嫌だ。嫌いにならないで。

そう、腕を抱きしめる腕の強さが言っていた。

思わぬ可愛いい反撃に、眩暈がする。

この、天然小悪魔め。

どうしてくれよう。

思わず空いた方の掌で顔を覆うと、彼女は何を勘違いしたのか、蓮の腕を抱きしめていた手の力がすっと抜けた。

彼女がまたあらぬ誤解を抱く前に、その手を掴んだ自分をちょっと褒めてやりたい。
しかし、その前に日和ったのは自分だから、トータルはマイナスか。

彼女の手をとって、そのまま立ち上がると、ソファに腰掛けた。

「ん。」

蓮の促しを受けて、そのまま横に座ろうとするキョーコに「そうじゃないでしょ」と言って、細い身体を膝の上に載せる。

「じゃあ、話して」

「こ、この態勢でですか?」

体重をかけないようにだろう、軽く腰を浮かせる彼女の顔は真っ赤だ。
涙目がすがる様に真近で見つめてくるのを、思わず無表情で見つめ返した。

「何か問題でも?」

「問題だらけです!」

「ないよ、問題なんて。君を嫌いになんてなるわけないし、君は俺の恋人だし、俺は君の恋人だ。ほら、問題なんてないだろ?」

言って、頑張っている彼女の脚を払うと、ようやく腿に柔らかな弾力と共にまともな重みがかかる。

「さ、話して。」

「ああああ敦賀さん、せめてこの態勢は…私、重いですから…」

「話さないとキスするよ」

「話します‼」

「………」

ウロウロと視線を彷徨わせたキョーコは、ギュッと己のスカートを握りしめて、ある女性タレントの名前を口にした。

「…ご存知ですよね…?」

あらわになったキョーコの丸い膝小僧に目をやっていた蓮は、下から見上げてくる視線と問いに、慌てて記憶を辿る。

はて、誰だっけ。

内心首を傾げる蓮に構わず、キョーコは話し続けた。

「綺麗な子ですよね。モデルさんもやってらっしゃるそうで。お料理も、得意だそうです。専属モデルを勤めてる雑誌に、レシピの連載ページが載る位。」

いや、君に『料理上手』って言われるの、ほとんどの素人が嫌がると思うな…。

盛大に突っ込みたいが、折角彼女が話し始めてくれたので黙っておく。それに彼女は知っているだろうか、ああいった記事や番組には、大抵プロのアドバイザーがつく事を。
プロが作ったレシピが載る方が多いのではないだろうか。

「今日、彼女が私の所に来たんです。」

「ふぅん?」

「…フォンダンショコラの、レシピを教えてくれって」

「ああ、あれか。」

甘いものが、苦手なはずの蓮の、一番のお気に入りだ。
パウダシュガーがたっぷりかかった、ビターなフォンダンショコラ。
ブラックコーヒーがよくあう一品。
思い出して思わず顔がほころぶ。

「美味しいもんね。俺も大好きだ」

彼女の作品を、あまりに蓮が褒めたものだから、まず社が食べたがった。
結果、彼女はその時の現場への差し入れとして持ってきたことがあるのだ。
売っている品となんら遜色のない逸品に、賞賛の嵐だった。
きっとその子は、その噂でも聞いて、そのレシピを欲しがったのだろう。

何気無い蓮の褒め言葉に、キョーコは何故か泣きそうにふにゃりと顔を歪ませた。

「やっぱり、お好きでしたか…」

「え。好きだよ?」

証拠に、彼女に作ってとねだったことがある。その時にも言っていた気がするが。

彼女が顔を曇らせる理由がわからない。

「あの、私、なのでレシピを教えて差し上げたんです。」

そうだろう。
彼女はその価値を大して考えもせずにひょいと渡したはずだ。
良い事をしたんじゃないのかな?
そのタレントの事はイマイチ記憶にないけれど、料理好きを公言するなら、話もあったかもしれないし。

「うん、それで?」

まだ話が見えない蓮は、優しく身体を揺すって促した。

「あの、彼女…。敦賀さんが、フォンダンショコラがお好きだとどこかで聞いたみたいで…で、スタッフさんが、私のフォンダンショコラを褒めていたのを聞いたって…」

「う?うん…?」

え、俺?

突然出てきた自分の名前に、改めて彼女の横顔を見る。

「今度のバレンタインに、彼女、敦賀さんに手作りのフォンダンショコラを渡すんだって。…告白もしようと思うって。…私、どう思う?って、聞かれたんです。」

「うん。」

それはまた、
事情を知る者からしたら…申し訳ないと言うか残念というか、なんとも言えない図だったろう。
この後に及んで、まだそのタレントの顔を思い出せない蓮は、芸のない相槌を打った。

そのタレントは、恋する乙女の顔をして、敦賀蓮のお気に入りの後輩である京子に聞いたのだ。

花のような笑顔で

どうかな?
彼の大好きなお菓子を持って
彼は喜んでくれるかしら。
彼は振り向いてくれるかしら。
私が告白しても、大丈夫かしら?

「私…、『いいんじゃないでしょうか』って」

「うん。…うん?」

彼女は腕の中で身を小さく小さくした。

「『きっと、喜んでくださいますよ』って、言ったんです…」

「………」

「…よくないのに。なんにもよくないのに。敦賀さんが大好きなフォンダンショコラを渡されて、告白なんてされたら、困るのに…私…」

ええっと…

涙ぐむ彼女の顔を見て、動揺のあまり固まった。
この場に、彼女の親友か彼の敏腕マネージャーか、彼らの上司がいたならば、
とりあえず蓮のヘタレっぷりを嘆いただろう。

しかし、幸か不幸か、この場には彼等以外に誰もいない。

彼女は、恥じ入る様に身体をますます小さくしている。

すると、何か。
彼女が心ここにあらずだった原因は

彼女が情熱を傾ける『仕事』でもなく、
彼女がとんでもない思慕を向ける『親友』でもなく、
彼女が到底逆らえない、『最高権力者』でもなく


俺…?か…?


じわじわと、ことばの意味が浸透してきた蓮は、とりあえず、この可愛い生き物をどうしてくれようかと頭を抱えた。






俺が好きなのは、『君が作った』フォンダンショコラなのであって、
いくら同じくレシピでも甘さも苦さも違うのだと。
そう言って。

世間の評価でいくら絶賛される容姿の女性から告白されたって、
俺の心は君のものだと。
そう言って。

君が、心に反する事を言ってしまって悩んでいるのをかわいそうに思うけれど、
それはいつまでも二人の仲を公表させてくれない君も悪いのだと。
そう言って。

けれど、君がそう言ってしまったからって、俺が傷つくことはないから安心してと。
そう言って。




けれど、とりあえず、まずは。



愛しているよと囁いて


キスをしようと思います。



それから、また、ねだろう。
君が作る、甘い甘いフォンダンショコラが食べたいです。と。

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ふむ。
メロキュンキョーコさんは、遠距離キョーコさんに比べてちょっと弱気な傾向にありますね(._.)
近くにいていちゃつき放題なのにねぇ。

兄さん、大失態ですね。キョーコさんがおかしかったら、あなた、とりあえず我が身を振り返らなきゃ(笑)
そして、
兄さんの視線が親父くさくてすみません。みむが親父くさいんですすみません。おかげで兄さん視点だと話が進みます(笑)
キョーコさんのこの日の服装記載がなかったなぁ。反省です。
あのおみ足は、最強兵器ですよ( ´ ▽ ` )ノ

お粗末‼