1988年と言えば、私はまだ中学生。
ラグビー界は今でこそ学生と社会人の力量差が問題になっていますが、
当時はまだ今ほど開いていませんでした。
日本選手権は毎年1月15日"成人の日"に国立競技場で
大学選手権の優勝校と社会人選手権の優勝チームが戦う形式でした。
そして度々、大学チームが社会人を撃破していました。
この年も、早稲田が社会人チームを破っています。

ところが、いつの頃からか社会人チームが圧倒的な力を発揮するようになり、
時には100点差ゲームをやって、日本選手権の存在意義も問われていました。

そして、大会形式の変更を余儀なくされたのです。


日本選手権が今の形式に変更されてから、いや、1988年の早稲田以来、
社会人チームを破った大学はありませんでした。
そう、今日までは。


清宮体制になって5年。
昔は「BKの早稲田」と言われていて、とにかくバックスに良い人材が集まっていた早稲田。
しかしスカウトや練習の成果により、全体的にパワーアップし、大学界最強チームへ変貌しました。
関東学院大学と言う好敵手がいたことも良かったのでしょう。
いまや、大学勢の中で早稲田の力を疑う人はいません。


その早稲田が、トップリーグに所属するトヨタを28-24で破りました。
トヨタは今季トップリーグ4位、過去には日本選手権優勝もしたことがある古豪です。
そのトヨタ相手に早稲田は1歩も引けを取りませんでした。
それどころか、スクラム、ラインアウトといったFW戦で圧倒していました。
早稲田が前半、得点を重ねていくシーンをテレビで見ながら、もしかしてという思いが沸いてきました。
しかしそこは社会人の意地。トヨタも着実に得点を重ねていきます。

取ったら取り返す、白熱の展開。
そして80分戦った結果が、早稲田の歴史的な勝利。
NO SIDEの笛がなった瞬間、熱いものがこみ上げてきましたよ。

NO SIDE。本当に良い言葉ですよね。
試合終了の笛とともに、両チームのサイドは無くなり、ともに健闘を称え合う。
今日もそんなシーンが見られました。

テレビで勝利インタビューを受けていた早稲田の佐々木主将はインタビュー終了後、
トヨタの選手たちのもとに走って行き、握手をしながら挨拶をして回っていました。
そしてそれに笑顔で応えるトヨタの選手たち。
これも見ていて感動するシーンでした。


清宮監督は今シーズンでの勇退、サントリー復帰が決まっています。
そのシーズンの締めくくりに、選手たちは大仕事をやってのけました。

次の相手はトップリーグ、マイクロソフトカップ2冠制覇、史上初の3冠制覇を目指す東芝府中。
奇しくも1988年に早稲田が破った社会人チームと言うのが、東芝府中。
因縁、はちょっと言い過ぎかもしれないけど、それでもなにか巡り合わせの不思議を感じてしまいます。
東芝府中も好きなんで負けて欲しくないのですが、早稲田にも頑張ってほしいなぁ(笑)


来週は、行くか?秩父宮。
早稲田キティ