8月に国立劇場で「志の輔らくご ひとり大劇場」 を聴きに行ったんだけど、仲入り後のトリの噺、「中村仲蔵」にすっかりヤラれてしまい、大号泣。
「中村仲蔵」は実在した歌舞伎役者。
身分制度の厳しい歌舞伎界で、血筋のない仲蔵が、4代目市川團十郎に才能を見出され、異例の大出世!
だけど、周りからの嫉妬のためか、名題(○○屋、と声がかかる看板役者)になって初めてもらった役は、忠臣蔵の五段目「斧定九郎」という、しょうもない端役。
落ち込む仲蔵だが、「ならば誰もやったことのない斧定九郎をやろう!」と決意し、様々な工夫を凝らしていく…
というストーリー。
これ、役者をやっている人にはホントたまらない噺なんだろうなー。
噺だけでも泣けてくるのに、今回はまた場所がスゴイ。
いつもは歌舞伎を上演している国立大劇場。
落語を聴くには広すぎるんじゃ…と思っていたらびっくりする演出が!
いよいよ「斧定九郎」の登場シーン。
揚幕がチャリン!と開いて、照明が花道をパーンと照らしていて、ツケの音が「バタッ、バタッ、バタバタバタバタ」と響く。
…震えた。
だって定九郎が見える。
見えないんだけど、見える。
全身を真っ白に塗り上げて、水しぶきをあげて、花道を颯爽と駆けていく姿が。
またそれを表現する志の輔さんの語りがすんばらしいの!!!
もう、心の琴線に触れまくりで、泣きすぎてどうしようかと思った。
あれ以来、「中村仲蔵」が私の心のバイブル(笑)
十八番としている噺家さんも多いらしく、他の人でも聴いてみたいなぁ。
CDもけっこう出てるみたい。
残念ながら志の輔師匠のはなかったんだけど、圓楽師匠のものを購入してみた。
これはこれで味わい深くてイイ!(*^▽^*)