林先生の殺陣は、
無駄をそぎ落としたものなのだと思う。

命を奪うか、奪われるかのやりとりには、
合理的な動き、
身体の使い方があるのだということを教わりました。

その上で、毎月の若駒だよりの中には、
ある印象的なエピソードが繰り返し掲載されていました。

…ある日、全国の殺陣師が集まって会議があった、
立ち回りのなかで、俳優の命をどう守るか、
流派を越えて話しあった、という内容だったと思います。

残念な事故を受けて、
林先生が呼びかけての集会の実現だったということです。

心は真剣だけれど、殺陣はあくまでも
「お芝居」であり、アクションは全て、
安全に行われなくてはならないということ。

林邦史朗先生は、
底なしに明るい方だったと思う。

それから、強い精神力の持ち主、
信念のある方だったと思います。

私が林先生の殺陣道場に通ったのは、
大学を卒業してすぐのことで、
モデル事務所の試験を受ける前に、
何か一芸を身につけたいと思ったから。


何者になればいいのか、まだ迷っていた私に、
いいもの持ってるね~と、度々励まして下さり、
おかげで当時の私は、若者らしい、笑
根拠のない自信を持つことができました。

事務所が決まったあとも、
林先生や若駒のメンバーの方々に会いたくて、
稽古にしばらく通いました。

朝霞の道場、冬は本当に寒かった。
そんな日は、
こたつにあたって、若駒のみんなで話すのも楽しかった。

新撰組の振付の現場を見せて頂いたことも、
よい思い出です。

「邦さんと呼んで」と、気さくな林先生。
渋谷で飲むと、締めにインドカレー屋に入り、
ナンを注文する林先生。

スーラータンメンが好きになったのも、林先生の影響です。

…いろんなことが懐かしい。
もっといろいろなことを教わりたかったなあ。後悔も少し。

来年の大河、真田丸の第2話に登場されるとのことです。

殺陣師でなく、俳優として会いにきてくれる、邦さん。

楽しみにしていますね。

私も一流に近づけるよう、一生かけて精進しなくては。