「藤原不比等のプロジェクト」このサブタイトルにも惹かれました。
がっ、のっけから一刀両断されたみたいな気持ち。聖徳太子は実在しなかった
- 天孫降臨の夢―藤原不比等のプロジェクト (NHKブックス)/大山 誠一
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11月に行った展覧会「皇室の名宝」
「皇室の名宝」記事 法華義疏は聖徳太子自筆ということで見て喜んだのに、あれは偽物ということでした。
確かに「聖徳太子は実在したか?」といったテーマは多くなりましたが、宮内庁の宝物にあるくらいだから本物だろうと思って見ていた。
大胆な事をするものです。 私が小心者ということですかね。
なぜ厩戸王を聖徳太子として崇めたのか、聖徳太子信仰までできた訳は
それは藤原氏が関わっていた。 “やはりね。”とい言うころですが。ここでは光明皇后を残して藤原家の主要な兄弟まで亡くなってしまった天平時代の疫病流行も大きな理由だった。ここに関わった行信という僧、光明皇后の庇護を受けて、法隆寺夢殿に聖徳太子遺愛の品を大量に探し出し奉納したとか。
馬子の業績を隠すために捏造された聖徳太子。それが信仰にまでなったのは、光明皇后が神頼みでもという思いで聖徳太子に縋ったということでしょうか。
そして本題「天孫降臨」
プロジェクトなんてついていたから面白そうと思ったのですが、NHK関係の出版社ですからプロジェクトXに引っ掛けてのサブタイトルでした。
内容はいたってまじめ。というか高度。素人にもわかりやすくは書かれてましたが。
アマテラスの神話もニニギノミコトの神話も持統天皇の思惑と藤原不比等の思惑の結晶ということを検証した本でした。
前々から「蘇我馬子は本当は大王だった」という説はありましたが、ここもやはりと確信もって書かれていた。
「随書」に書かれていた倭王は男性だった。「日本書紀」の編者によって巧に隠され、捏造された。
そしてそれをさせた不比等。自分は表舞台に立たず、あくまでも天皇が頂点という図式を作りながらも、実質的な権力は握る。
しかし、時の皇子がが早世したために神話は二転三転する。
「そうだったのですか」という思いしかありません。
古代史は取り組めばどんどんはまっていく袋小路。どこで自分のラインを引くか。
読書を楽しむための物と考える私にとっては、おもしろいけどのめり込んではちょっとあぶないところです。
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