今日、仕事の帰りに、横浜駅東口のそごう美術館で、2月4日(土)から2月21日(火)まで開催されている「再興第101回院展」を見てきました。

再興院展は、日本画の研究団体である日本美術院が開催し、毎年9月の東京展を皮切りに全国を巡回しますが、横浜展は、昨年逝去された後藤純男氏の作品2点を含む89点が展示されています。

 

昨年、私は、同美術館で開催された「再興第100回院展」と「第71回春の院展」を拝見し、大変感銘を覚え、今回の再興院展を楽しみにしていました。

昨年の、それぞれの感想の次の通りです。

再興第100回院展(於そごう美術館)に行ってきました。

第71回 春の院展(於 そごう美術館)「金魚」斎藤満栄氏が魅力!

 

最初にそごう美術館の入口の様子です。

この絵は、新理事長の田渕俊夫氏の「飛鳥川心象 春萠ゆ」です。

 

それと、チラシとチケット、それと購入した作品集です。

 

さて、それでは、私が気になった作品の感想をいくつかお話ししたいと思います。

まず、内閣総理大臣賞の村上裕二氏の「気」という作品です。

(作品集の絵をお借りいたしました。)

この絵は、入口のいの一番の場所にあり、人馬一体となって、疾走している様を描いたものですが、その躍動感と、群青と金の激しい対比に強い「気」を感じる、迫力のある作品でした。

全体的に、静かな作品が多い中、この激しい動きを感じる作品は、大変新鮮に感じました。

 

次に、過去二回の院展で、私が大変こだわった斎藤満栄氏の作品です。

昨年の再興第100回院展では、齋藤氏は「鉄線」を出品しており、私はこの作品の魅力に何度かブログで書かせていただきました。

再興第100回院展(於そごう美術館)に行ってきました。

再興第100回院展 齋藤満栄氏「鉄線」をもう少し語りたい。

再興第100回院展 斎藤満栄氏の「鉄線」について更に語りたい。

 

そして、春の院展に出品した「金魚」についても熱く語らせていただきました。

第71回 春の院展(於 そごう美術館)「金魚」斎藤満栄氏が魅力!

 

今回の出品作は、「金魚」であり、前回の作品を発展させた作品です。

作品集をご覧ください。

数多くの赤、黒、金の金魚が泳ぐ様が、美しく描かれています。

特に、中央部の金魚は、色合いも明確で、詳細に描かれ、会話をするかのように、活発に動いています。鑑賞者の目を、特にこの部分に惹きつけることに今回も成功しています。

前回の金魚に較べると、尾びれが長く、描かれているでしょうか、水辺に泳ぐ姿は、大変優雅に感じますし、とても楽しめる作品ではないでしょうか。

 

次は、昨年、この場所で個展があった西田俊英氏の作品です。

個展の感想のブログは此方です。

西田俊英展 忘るるな夢 (於 そごう美術館)に行ってきました。

 

今回の作品は、「コロボックルの月」という作品です。

コロボックルは、北海道に伝わる小人であり、ここに描かれているウサギは、コロボックルが月夜の下で変身して、森で遊ぶ様を描いたものです。

月の輝きの神秘、そして、その光が映し出した森やウサギの姿は、精密に、生き生きと描かれており、その迫力に、思わず、この物語の世界に引きずりこまれてしまいます。

 

さて、冒頭に触れましたが、今回の院展では、昨年逝去した松尾敏雄氏の作品が2点展示されています。「月輝く古都」と「寒牡丹」です。

また、那波多目功一氏の「アイガー北壁」(冒頭チラシとチケットに掲載されている絵)は、松尾氏と共に出かけたスイスで写生を元に描き上げた力作です。

いうまでもなく、両氏の作品は、今回の院展の目玉と言えると思います。

 

さて、その他私が大変気になった作品ですが、

宮北千織氏の「華」は、古い教会のイメージの中の、フラワーガールが描かれていますが、宮北氏らしい上品で、質の高い画風であり、華やかで明るい作品と感じました。

 

また、いつも、気になる鎌倉秀雄氏の作品ですが、今回は「梅花早春」という作品で、猫と梅の花が描かれています。

前回は、椿と猫が描かれていたと思いますが、ゆったりとくつろぐ猫と、花に対して愛情に満ちた心を通してみた梅の花の組み合わせが、大変ほっとする作品となっています。

 

このほか、守みどり氏の「室内風景」のみどりの世界と若い女性に大変新鮮さ感じましたし、福家悦子の「白雨のあと」で描かれた白い牡丹の様々な表情が印象的でした。

 

今回の院展、魅力的な作品、驚くような力作、いろいろ楽しめましたが、

ただ、素人の私にとって、単純に美しいと思う作品、心が和む作品、そうした作品が必ずしも多くはないことを、どのように受け止めて良いのか難しいところだなと思いました。

 

私の鑑賞力が、まだまだ不足しているが故と思いますが、今後、自分なりに精進が必要なのだと思います。