ママ友が、中学生の息子の将来を憂いて、この夏、とあるアジアの発展途上国に息子を送って、貧民街の見学させると言う。
のほほーんと、机の前で、勉強もせず、スマホをいじったりゲームをして、成績が振るわないので、スマホ・パソコン・ゲームの男子ティーンエイジャーの三種の神器を隠したら、何もすることがなくなって、ボーッとずっと天上を見ているらしい。
わかるよ。
わかる。
貧しくても逞しく生きている子供が、世界にはこんなにたくさんいるんだよ。
君はこんなにも恵まれてるのだから、もっと前向きに努力できるはず。
このママ友だけでなく、男女両方の子供がいるお母さんと話していると、たいていこう言っている。
娘は心配ないのよね。
頑張り屋さんだから、放っておいても大丈夫。
でも、息子がねえ。。。
ここで、皆、思うことは同じ。
フランスの家庭でよくあるのが、このままの生活態度を続けるのなら、
・規律の厳しい寄宿舎に入れるぞ。
・今、すぐ学校をやめて、軍隊にはいれ。
と脅すことである。
この2つの案に共通するのが、
ティーンエイジャーになって、思い通りにいかなくなった息子を、なんとか改心させたい。
でも飴も鞭も効かなかった。
もう親の手に負えない。
どこかに、息子の性根を叩き直してくれる場所はないか。
そうだ、寄宿舎か、それがダメなら軍隊に放り込もう。
厳しい訓練を受けたら、今までどんなに恵まれていたかよくわかるだろう。
とこんな感じで、藁にもすがる気持ちになるのだ。
実際、私の友人で、バカロレアに失敗した後、無気力になり勉強も仕事もしないでいた息子を、軍隊の訓練校に入れた例もある。
一緒にランチしたママ友も、何処かの国の貧民街を訪れることで、彼女の息子の心に、突然、スイッチが入り、人が変わったように勉強もスポーツも頑張るようになることを夢見ている。
いや、そんなことしても無駄だと思う。
親がお膳立てして、飛行機のチケットを取って、貧民街のツアーに参加させたとしても、何も変わらないと思う。
男の子は、言われてやっているうちは、花は咲かない。
これは、自分の子育ての反省を込めて書いている。
回復不可能なくらい大きく道を逸れてしまうことは、10代のうちはできれば避けてあげたいが、多少の失敗や選択ミスは、大人の男になるために必要なステップなのだと思う。
私も、息子のために良かれと思っていろいろやってみたけれど、ほとんど無駄だった。
それがわかっているのに、今でもいらんおせっかいをしそうになって、うざがられている。
スイッチが入って、大人になるキッカケは、親じゃないのは確か。
そして、そのタイミングは、人それぞれ違う。
尊敬できる先輩との出会いであったり、愛して守りたい女性に出会ったときなど、親が関わらない場面で、成長していくものだと思う。
そんな甘々の我が家も、フランスの成人年齢の18歳を超えたら、もう助けないと言ってある。
本音は助けたいけど、親ができることは何もなくなったので、助けてあげることができない。
唯一、できるのは、どんな結果になっても受け止める心の準備をしておくくらいだ。
大人になりかけている息子におせっかいする暇があったら、自分自身が、何があってもどーんと構えて幸せでいれることにエネルギーを注いだ方が、親にも子供にもずっと良い未来が待っていると思う。