親ができることは何もない | ミカリュス ブルガリスの心の薬箱

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辛い恋とはさようなら。自分らしく幸せに生きる処方箋をフランス・パリから綴っています。

旧来のママ友とランチしてきた。

ママ友が、中学生の息子の将来を憂いて、この夏、とあるアジアの発展途上国に息子を送って、貧民街の見学させると言う。

のほほーんと、机の前で、勉強もせず、スマホをいじったりゲームをして、成績が振るわないので、スマホ・パソコン・ゲームの男子ティーンエイジャーの三種の神器を隠したら、何もすることがなくなって、ボーッとずっと天上を見ているらしい。







わかるよ。

わかる。




貧しくても逞しく生きている子供が、世界にはこんなにたくさんいるんだよ。

君はこんなにも恵まれてるのだから、もっと前向きに努力できるはず。






このママ友だけでなく、男女両方の子供がいるお母さんと話していると、たいていこう言っている。


娘は心配ないのよね。
頑張り屋さんだから、放っておいても大丈夫。

でも、息子がねえ。。。





ここで、皆、思うことは同じ。


フランスの家庭でよくあるのが、このままの生活態度を続けるのなら、



・規律の厳しい寄宿舎に入れるぞ。


・今、すぐ学校をやめて、軍隊にはいれ。



と脅すことである。





この2つの案に共通するのが、

ティーンエイジャーになって、思い通りにいかなくなった息子を、なんとか改心させたい。

でも飴も鞭も効かなかった。

もう親の手に負えない。

どこかに、息子の性根を叩き直してくれる場所はないか。

そうだ、寄宿舎か、それがダメなら軍隊に放り込もう。

厳しい訓練を受けたら、今までどんなに恵まれていたかよくわかるだろう。




とこんな感じで、藁にもすがる気持ちになるのだ。





実際、私の友人で、バカロレアに失敗した後、無気力になり勉強も仕事もしないでいた息子を、軍隊の訓練校に入れた例もある。




一緒にランチしたママ友も、何処かの国の貧民街を訪れることで、彼女の息子の心に、突然、スイッチが入り、人が変わったように勉強もスポーツも頑張るようになることを夢見ている。









いや、そんなことしても無駄だと思う。


親がお膳立てして、飛行機のチケットを取って、貧民街のツアーに参加させたとしても、何も変わらないと思う。






男の子は、言われてやっているうちは、花は咲かない。




これは、自分の子育ての反省を込めて書いている。


回復不可能なくらい大きく道を逸れてしまうことは、10代のうちはできれば避けてあげたいが、多少の失敗や選択ミスは、大人の男になるために必要なステップなのだと思う。


私も、息子のために良かれと思っていろいろやってみたけれど、ほとんど無駄だった。



それがわかっているのに、今でもいらんおせっかいをしそうになって、うざがられている。





スイッチが入って、大人になるキッカケは、親じゃないのは確か。

そして、そのタイミングは、人それぞれ違う。


尊敬できる先輩との出会いであったり、愛して守りたい女性に出会ったときなど、親が関わらない場面で、成長していくものだと思う。





そんな甘々の我が家も、フランスの成人年齢の18歳を超えたら、もう助けないと言ってある。


本音は助けたいけど、親ができることは何もなくなったので、助けてあげることができない。





唯一、できるのは、どんな結果になっても受け止める心の準備をしておくくらいだ。




大人になりかけている息子におせっかいする暇があったら、自分自身が、何があってもどーんと構えて幸せでいれることにエネルギーを注いだ方が、親にも子供にもずっと良い未来が待っていると思う。