新文芸坐にて仲代達矢さん&野上照代さんのトークショーを拝聴した後、神保町シアターへ向かう。

午後3時過ぎ、神保町シアター到着。本日から特集「神保町特撮図鑑」がスタート。これは楽しみ!

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しかも本日は「平成ガメラ三部作」を撮られた、金子修介監督によるトークショーがある。これが目当てで仕事を休みにしたのだ!!



『大怪獣ガメラ』(1965/大映東京/シネスコ/78分)

北極の氷の下で眠っていた古代怪獣ガメラが、国籍不明の原爆搭載機の墜落により目覚める。ガメラは熱をエネルギー源とする為、人類の用いる火力兵器の類は一切通じない。復活後は南下して日本へ上陸、破壊の限りを尽くす…。(但し、子供には友好的な面も。)

ガメラを倒す為に世界中の科学者が日本へ集結。冷戦下の米ソの科学者も「世界の為に…」と協力する場面に、当時の製作者達の思いを感じる。それはそうと、科学者達が「絶対大丈夫だ!」と言うZ計画が、素人目に見ても凄い大雑把。あれでよく成功したなぁ…。

Z計画のある伊豆大島へガメラを誘導する為、好物の熱エネルギーで誘き寄せようと海に石油を流し火の道を作る。ところが上陸目前で強風により鎮火。嘆く博士の目の前で小屋に火を付ける青年。博士が「気でも狂ったか!?」って言うけど、俺だってそうするよ。

『Z計画』ってロケットでガメラを宇宙に飛ばす計画なのだが、よく考えてみたら次回作の序盤で失敗が明らかになるんだよなぁ…。「絶対大丈夫」じゃなかったね。

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終映後、次の上映まで時間があるので、劇場近くにある『Sガスト』で早めの夕食。すると突然「みやびさん!」と声を掛けられる。

mixiのマイミク・紅藤マイトさんだった。「あれ?マイトさん今日はラピュタ阿佐ヶ谷に行ったのでは?」と聞けば、ラピュタで映画を観てから急いで神保町へ来たそうだ。アンタも好きねェ…(笑)。

食後、劇場ロビーでマイトさんと無駄話。「この特集にゴジラが1本も無いのは何故だろう?」「この前、マイミクの酒盛ススムさんが『電送人間』は新東宝の香りがすると言っていたなぁ。」等々。

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『ガメラ大怪獣空中決戦』(1995/大映/ヴィスタ/95分)

太平洋上で謎の巨大漂流環礁が発見される。調査の結果、環礁は生物だと判明する。環礁は黒潮に乗って少しずつ日本へ接近。同じ頃、五島列島・姫神島に謎の巨大怪鳥が出現し、全島民が喰い殺される事件が発生。政府は怪鳥を貴重動物と判断し、捕獲を決定する。自衛隊が怪鳥を福岡ドームに誘き寄せた所へ、あの巨大生物が…。

ギャオスは遥か太古に滅亡した超古代文明による遺伝子工学の産物であり、ガメラは人間の手に負えなくなったギャオスに対抗する為に生み出された生物兵器……という細かい設定が、昭和ガメラと違い幻想的かつリアルでSFチック。

劇場公開当時、初日初回に富山東映(東宝系の映画館は閉館してしまった)で本作を観て「こういう怪獣映画が見たかったんだよ!」と大変感動したものだ。子供の付き添いのパパさんが「いや、面白かったわ。ガメラなんかと思っとったけど、ホント面白かった。」と言っていたのが忘れられない。

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終映後、金子修介監督と映画プロデューサー・岡田裕さんによるトークショーを拝聴。


岡田「この神保町シアターという劇場は、普段は年配のお客さんばかりなんですよ。小津安二郎とか成瀬巳喜男の映画を観て、神保町で食事をして帰っていくという方々が多い。けど、今夜のお客さんは若い方ばかりで、しかも夜一番最後の上映回が満席になるのは珍しいんですよ。金子監督の人気が窺えますね。僕は怪獣映画や特撮映画は殆ど観たことが無いんですが、初めて観ましたけど金子監督の『ガメラ』面白いですねぇ!」

金子「ありがとうございます。ちなみに映画の中に自衛隊が出てきますけど、あれ本物ですからね。しかもタダ。民間との共同演習という形で、自衛隊はお金を取っちゃいけないんです。でも自衛隊の協力を取り付けるまでが大変で、会社からは「自衛隊を警察に変えたらどうか?それなら何とかなる。」と言われたんです。けど怪獣と戦うのが警察じゃなぁ…(笑)」

岡田「昔、日活が『ガッパ』という怪獣映画を作ったんです。この時、ガッパの助監督をやれと言われたのですよ。それまで色々やりましたけど、ガッパは何か恥ずかしいなぁと思って断りました。」

金子「松竹には『ガッパ』より格下の『ギララ』がいますよ(笑)。私、子供の頃ガメラを観たことが1度もないんですよ。ゴジラは観ていて、ガメラも観たかったんですけど、自分の中で大映は東宝より格下だったんです。だから何か恥ずかしくて「ガメラ観に行きたい!」って言えませんでしたね」

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岡田「金子監督は日活ロマンポルノでデビューしてるんですよね」

金子「はい。『濡れて打つ』という映画が初監督作品です。その後『みんなあげちゃう』という映画を撮ったのですが、この中にガメラを出したかったんです。大きな亀の頭を擦ると、口から液体がピュッと…。これをガメラにしたかったのですが、大映に断られました。けど円谷プロは「ウルトラの母を使いたい」とお願いしたら、1秒三千円で貸してくれました」

岡田「ガメラの予算は幾ら?」

金子「五億です。実は当初、大映は『大魔神』をリメイクするつもりだったのですが、それよりはガメラの方が良いんじゃない?と思いまして。それからガメラのシナリオが2本上がってきたのですが、一つは小さな亀を育ててガメラにする話で、これは駄目だろうなぁと。もう1本のシナリオも読んだのですが、これも駄目だなぁと思っていたら、以前から付き合いのある伊藤和典さんが脚本を書いてくださることになりまして。そのうえ特技監督を樋口真嗣さんが引き受けてくださったので、これならちゃんとした怪獣映画が撮れるなぁと思いましたね。私も色々考えていたんですよ。映画の冒頭「大映倒産25周年記念作品」とテロップを入れようとか。会社から却下されましたけどね。徳間社長からは「映画が始まったらすぐにガメラを登場させるように」と言われました。分かりました、と言いつつ「そりゃ駄目だろ」と思いましたね。結局、出来上がりを観て社長も喜んでくださいました」

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質疑応答の時間を入れ、1時間越えの濃密なトークショーでした!

トーク終了後『ガメラ手拭い』を購入すると、監督からサインを戴けると聞いてロビーへダッシュ!

販売数限定20枚の手拭いを無事購入し、監督から手拭い&持参した色紙にサインを頂戴しました!!

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富山東映で観たあの日から18年。再びスクリーンで鑑賞し、監督からサインまで戴けるとは…(泣)。




午後九時頃、劇場をあとにしてマイトさんと駅で別れた後、会社の同期会に出席する為に上京している父親に電話。今夜は都内の親戚宅に泊まっているのだが、時間的に遅いので会うのは明日にしようということに。父さん、すまん!

でも今夜、俺は最高に幸せだ!!