肩を優しく擦られ、眠りから覚める弓枝。
「あっ…、看護婦さん…。すみません…、寝ちゃってました。」
「お疲れでしょ。昨夜は眠ってらっしゃらないとの事ですが…。」
「ええ…、まあ…。やだ…こんな恰好で…。」
「いえいえ…。」
そして範子が病室の入り口に手を差し出す。
「先生!!!」
優美子、
「橘さん。」
「まぁまぁ…、こんな朝早くから…。」
「とんでもない、私たちの可愛い子供たちでもあるんです。」
洋祐。
「陣内先生…。」
ぐしゃぐしゃな顔に、うっすらと涙を浮かべて…。
ゆっくりとベッドに近づく洋祐と優美子。声にならない声で…、
「かえ…で…ちゃん…。こんなに…なっちゃって…。」
「すみません、男の子の部屋は…???」
洋祐。
範子、
「御案内します。」
「じゃ…、俺は大輔の方に…。」
頭をコクリと優美子。
こちらも同じく、ベッドに顔を埋めて眠っている睦美。
そして、ソファでブランケットを掛けて眠っている政美。
ドアをノックする音…、
「へっ…。」
いきなりブランケットを捲る政美。
「あっ、はい。あっ、看護婦さん、昨日はどうも…。えっ…???こちら…は…???」
「楓ちゃんと大輔君の先生…。」
「初めまして…、担任の陣内と申します。…この度は…。」
「あ~あ~、はいはい。」
ベッドに振り返って、
「母さん、母さん、大輔の先生。」
睦美の肩を叩いて。
「へっ…、あっ、はい。あ…、これは、これは…、先生…、すみません、こんな恰好で…。」
「すみません、こんな朝早くから…、窺っちゃって。」
「とんでもない…、わさわざ…申し訳ありません。…ありがとうございます。」
「大輔君…いいですか…???」
「どうぞ、どうぞ…。」
楓のように、意識のない大輔。
「大輔――っ!!!こんな…。」
いきなり目を赤くする洋祐。
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