男を奪ったことはない。男が私を求めるのだ
――煌くバブル期、金と名誉ある男を次々虜にし、
女たちの羨望と憎悪を一身に浴びた女子大生を描く恋愛長篇。
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林真理子さんの最新刊の小説
『アッコちゃんの時代』を買った。
大学院の合宿が終わってから読もうと思っていたものだ。
最近、専門書や仕事関係の本ばかりを
読んでいたので、いい意味で新鮮だった。
林真理子さんの小説、エッセーは、
相当な数が出ているが、
(200冊くらいかな、もっとかな?)
ほとんど読んでいる。
1、2冊くらい、読んでいないのがあるかもしれないが・・・
林真理子さんの講演会やトークショーなどにも
何度か足を運んだことがある。
小説のモデルとなったアッコという女子大生が、
(小説の中の名前とは違うが、実際にアッコと呼ばれている)
バブル当時、写真週刊誌・週刊誌で、
<地上げの帝王>と異名をとったM恒産の会長、
山形出身のH坂T吉の愛人であるという記事や
今でも活躍している人気女優の旦那さんと
(この男性もいろいろ逸話があり)
不倫して、妊娠、
略奪愛したという記事を見たことがある。
当時、男性と付き合ったことすらなかった私は、
同じような年代であっても
人それぞれ、いろいろな生き方があるのだなあと
思ったのを憶えている。
はっきりいって、嫌悪感が強かった。
林真理子さんの既刊本の
『花探し』という小説の主人公の舞衣子みたいだなあと思った。
(『花探し』
舞衣子は、不動産王に磨き上げられた愛人のプロ。
美しく洗練された容姿を高級ブランドに包み、
ベッドではテクニックの限りをつくす。
が、最近は、新しいパトロンとの関係にも翳りが…。
舞衣子は密かに決意する。
「いいわ。次の男は私が選ぶ」弁護士、名家の御曹司、流行作家―
その「男」は誰か。
一流レストランで、秘密の館で、
ホテルのベッドで繰り広げられる、官能と欲望の祝宴。)
もしかして、林真理子さんは、
『花探し』という小説を書くときに
アッコを頭において、
舞衣子という主人公を小説に書いたのかもしれないなあ。
先月、某女性雑誌に
そのアッコ(現在37歳)が取り上げられていた。
それにしても、新潮社の某女性雑誌の内容、
ヒロインではなく、いわゆるヒール役というか、
魔性の女、悪女と呼ばれていたアッコを
(林真理子さんの小説の宣伝、出版社の意図だとわかっているが)
提灯記事になっていて驚いてしまったわ。
それにしても、自分のことを「綺麗」
「愛されるのが当たり前」と素直に思えて、
男性からの援助で、贅沢のかぎりをつくす。
そして、享楽的ともとれる、努力とは無縁の女性には、
誰も何も言えないいのかもしれないなあ。
美貌を武器に・・・世の中・・・男を・・・渡っていく・・・かあ。
「虚しくないのかなあ!?」
って、アッコのような女性を見ていて思うけれど、
私はアッコじゃないし、
「貴女には、わからないわよ」って、言われたら、
「ハイ、そうですね」と、答えるしかない。(笑)
放送作家の町山広美さんが、
アッコのことを書評でこう書いている。
~林が描いたアッコは、
見事に装飾されているが底のない壺、を思わせる。
魔性の女には、自分の強力な自我に相手を隷属させるタイプと、
巨大な自我の空白に相手が勝手に落ちていくタイプがあるはずだが、
アッコはその後者だと私も思う。
そう、カラの器なのだ。~