薄桜鬼・妄想小説【いろは歌】第2話 | 浅葱色の空の下。

浅葱色の空の下。

薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。





このお話は不定期とさせていただきますので、

あらかじめご了承ください。



そして、このお話は色んな視点から書きたいなぁと思っていますので、

支離滅裂になるかもですが、宜しくお願いします。






キャラ崩壊あり。


設定無視あり。







それでも宜しい方だけ、どうぞお付き合いください。





第1話はこちら → 

















月明かりの中、井戸の傍で屈んでいると背後から少し切羽つまっったような声がかかる。


「いろは!」


「平助君。どうかした?」

立ち上がりその顔を見れば、真剣な眼差し。


「今、1人か?」


「…うん、1人だけど」

私の応えに『よかった』と言うなり、いきなりグッと手を取られズンズンと歩き始める。


よろけそうになりながらも手を引いていく彼に慌てて声をかける。


「へ、平助君、どうしたの?」


「逃げろ」


「へ?」


「いいから逃げろ」


「…どうして?」

目を丸くする私の問いかけにも立ち止まらずに、彼は外に出ようと足を速めている。

二人の砂利を踏みしめる音がやけに回りに響く。


「今晩だけでもいい。どこか泊まらせてもらえ」


「…そう言われても…。私身寄りはいないし…。でもどうして?」

ようやく立ち止まった平助くんは振り返り私の両肩をグッと掴んだ。


「今日は屯所にいるな!…いさせたくねぇんだ」


「よく…、意味がわからないんだけど」

私の言葉に頭を掻き毟りながら『あー…』と声を零した平助君。


「とにかく、どっか…。そうだ!山崎くんに…」


「平助。何してやがる」

突然投げられた声に私たちの身体は跳ねた。

その人物を見て平助君の表情が歪んだ。


「…っ。土方さん」

振り返れば闇の中から月明かりの元へと、そして私たちの元へと土方さんが近づいてくる。


「余計なことしてんじゃねぇよ」


「…余計なことなんかじゃねぇ。俺、いろはには…っ」

土方さんが眉根を寄せ溜め息交じりに吐いた言葉に、反論する平助くん。


「新八がお前を探してたぞ」


「…っ。…わかったよ」

少し俯いて応えた平助君が私を見て眉根を寄せる。


「…ごめんな、いろは」

そっと私の頬に触れる手は微かに震えていた。


初めて見る彼の切なそうな表情に私の心はざわめく。

彼の名を呼ぼうとした途端、また引き返すように平助くんは走っていった。




彼の背中が暗闇に溶け込んでいくのを見ながら、土方さんに声をかける。


「…土方さん…。平助君、何かあったんでしょうか?私に逃げろって…」


「いろは」


「…はい」

顔を向ければ交わる視線。

月明かりの下で土方さんの黒く綺麗な髪が艶めいて光っていた。


「俺の部屋へ来い」


「…。お茶…でしたか?急いで用意しますので、お部屋でお待ちになっててください」


「茶はいらねぇ。今すぐ来い。俺と共に、だ」


「あ…。でもまだ片してなくて…」

言い終わらないうちに背を向けて歩き出す土方さん。


「今日はいい。さっさとしろ」


「は、はい」

苛立ちを含んだかのようなその言葉に背筋が伸びる。


玄関から上がり、廊下を通って縁側を歩いていけば生ぬるい風が頬を掠めた。

足元を照らすように差し込む月の光。

風に乗って虫達の声が耳に届く。


少し前を歩くその風格ある後姿を追いかけながら、私は思考を巡らせる。




どこか皆いつもと違う気がする。

何か新撰組にとって切羽詰った話でもあるんだろうか。

…私の処遇が決まったのだろうか。

用無しになってしまった…とか。



様々な考えが頭を巡り、気付いたときには副長室の前に着いていた。


「入れ」

土方さんが障子戸を開けてくれ、軽く会釈をして部屋の中へと入る。



共に入ってきた風に行灯の火がゆらりと揺れた。







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次からフォレストかな~(・∀・)







みふゆ