薄桜鬼・妄想小説【白雨の恋】第6話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから→





いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。

















二人の間に会話はなく、暫くの時間が流れる。

川の流音が二人を包む。





「…言っちゃった、ね?」

茜が口を開いた。



「またどうせ離れちゃうのにね」

「…」


さっきまでの幸せな気分は川の流れと共に少しずつ零れていくと共に、
溢れてくるのはこれから先の感情。


「またどうせあんな思いするのにね」
脳裏に二年前に離れた時の茜の様が過ぎる。
二人の心の中の傷が疼く。

平助の抱き寄せる力が強くなる。



「…お互い言わなきゃいいのにね」
茜の声が震え始める。


「…泣くなって」

「茜の泣き顔は苦手なんだよ」
自分の首に顔を埋めている茜を肩を持って少し引き離す。


「…全部嫌いになれればいいのにね」
首を傾げながら笑うも零れる涙。

「…もう言うなって」
眉間に皺を寄せる。

「だって…!」

茜の言葉を平助の口が塞ぐ。
平助の舌が茜の口を犯していく。

茜は驚きつつも、ゆっくりと舌を絡めた。

優しく深い口付け。



「しょーがねーだろ。好きなモンは好きなんだ」

「だって…」

茜の目からはぼろぼろと涙が零れる。





「もう無理」

「何が?」

「黙ってらんない」
意を決したような茜の目。



「…私、お嫁に行くの」


「…は?」
その言葉に目を見開く平助。


「お嫁に行くの」

「何言って…」
茜の表情が冗談を言ってるわけではないのは容易く理解できた。



「…帰るぞ」
立ち上がる平助。

「え?」

「帰るって言ってんだよ!何で嫁入り前なのに俺なんかとふらついてんだよ!俺なんかに会うんだよ!」
荒げた声を上げる。

「…何で言わなかったって怒らないの?」
平助を見上げる茜。

「…。…言いたくなかったんだろ?」
眉間に皺を寄せ、呟いた。



「それよりも帰るぞ!」
まだ座ったままの茜の手を取る。

「やだ。帰らない!帰りたくない!」
駄々をこねるように首を振る。


「お前、馬鹿か!そんなことしたら世間からお前がどんな目で見られるか…!」

「親と相手が勝手に決めたことなの!嫌なの!平ちゃんがいいのっ!平ちゃんといたいのっ!」
茜は顔を真っ赤にして声を張り上げた。


「馬鹿言うなって…」
泣きそうな顔をして呟く。

「…やだ…」
ぼろぼろと溢れる涙は止まらない。


平助が座りなおして茜をふわりと抱きしめる。


「相手って誰なんだ?」

「…先生」

「この間来てた?」

「そう」


「…いい人そうだぞ?」

「いい人だけど…、好きじゃない」


「…いつ輿入れなんだ」

「10日後…」

「そっか…」


「…」

抱き締めながら茜の頭をぽんぽんと撫でる平助。


「もう帰ろうぜ」

「…うん」


二人の間に静けさが訪れる。


川のせせらぎは遠のき、蝉がやけにうるさく響いた。







家の前に行くと椎名が待っていた。



「茜」
椎名が口を開く。


「あの、俺、藤堂平助って言います。茜…さんの幼馴染です。その…すみませんでした!」
椎名に向かって頭を深く下げる。

「先生、私が…」

「お前は黙ってろって!」
茜の声を制する平助。

「いいの!…私が悪いんです」
椎名の目を見つめる茜。


椎名は目を伏せ、軽く溜め息を吐く。
「茜。おいで?」


おずおずと椎名の前に歩みを進める。


「どこか具合が悪くなったりしてないか?」
茜の顔を覗き込む椎名。

「…はい」
目を伏せる茜。


「平助くん、茜から君の話は色々聞いていたよ。送ってくれてありがとう。
茜、先に家に入りなさい」

「…」
茜は平助に視線を送るも、目を伏せて家へと入っていく。



茜の後姿を見送り、口を開く椎名。
「…君も男だったら僕の心中がどんなもんか察してくれるよね?」

「…はい。すみませんでした」

「君は新撰組なんだろ?いずれまた京に戻るんだよね?」
平助をじっと見据える。

「…はい」

「茜をもう刺激しないでくれ」

「…」
平助は真一文字に口を結ぶ。


「もう会わないでほしい」
眉間に皺を寄せ、目を細めた。

「…はい」
平助は再び頭を下げ、その場を離れた。







茜の部屋に入り、椎名が後ろ手で障子戸を閉める。


茜は正座して俯いていた。


「茜」
茜の手をとり、引き寄せて抱き締める。

「…止めてください」

口付けを反らされた椎名は茜の首筋に舌を這わせる。

「やっ…!」

椎名の胸を押す茜。

体勢を崩れるのを見越したかのようにあっという間に茜は畳みに組み敷かれた。

目の前に迫る椎名の顔。


「止めてください。…輿入れのこと、ちゃんと伝えましたから」
眉間に皺を寄せながら椎名の目を見つめる。

「…」
茜の顔をじっと見つめる椎名。


「僕はこんなにも君を好いているのに。
君はいつ僕の物になるんだろうね?」

「あと10日もすれば先生のものでしょう?」
苦しそうな顔をして言葉を吐いた茜。

「身体はね。茜の心まで僕の物にしたいんだけど?」
目を細める。

「…」

椎名が口付けしようとする瞬間、
障子戸の向こうから声がかかる。


「先生、いらっしゃいますか?旦那さまがご相談されたいと…」


「…わかりました。すぐ伺います」
茜を見つめながら応える椎名。


茜がほっとした瞬間、茜の口は椎名の舌に犯された。

目を見張る茜。

「君から他の誰かの匂いがするね。実に腹立たしいよ。それに君は僕を誤解してる」
立ち上がり茜を見下ろす目。

「今日はもう時間がない。また来るよ。無理しないように。
あと10日くらいは彼に会わずに親孝行でもすればいいと思うよ?」
何事もなかったかのようにふわりと笑って障子戸を閉めた。


深く長い溜め息を吐いて、全身の力が抜けるのを感じた。

途端に茜の目からははらはらと涙が止めどなく溢れた。









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何か…昨日とは打って変わって急展開でm(__)m


あと2話、3話で最終話です。

宜しくお願いしますm(__)m




みふゆ