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第1話はこちらから→★
いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。
かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。
平助は空いた時間を見つけて伊東道場へ通う。
手練の者も多く、稽古の時間は充実していた。
道場の隅で壁に寄りかかる男と付き添う平助。
「あててて…。藤堂くんは強いね。流石、新撰組組長ってとこか」
「秋元さんすみません。大丈夫でしたか?」
「何、これくらい。今日は椎名先生もいらしてるから後で診てもらうさ」
「椎名先生?」
「ああ、この道場の怪我なんかを診てくれてる先生だよ」
「へえ…」
このやりとりを少し離れた場所から見ている男がいた。
稽古終わりに井戸に行き、顔を洗う。
『最近京では忙しかったし、腕を上げるにはうってつけの機会かもしんねーな』
脳裏には沖田、斎藤、永倉の姿。
『剣では負けたくねー。ぜってー追い抜いてやる』
「藤堂くん」
「っ!…伊東さん」
いきなり後ろから呼びかけられたので驚いてしまった平助。
「稽古に参加してくれてありがとう。
貴方が来たことで道場の空気もいい感じで張りつめてるわ。
よろしければ部屋でお茶でもどう?」
目を細めて、口元には軽く笑みを浮かべていた。
「じゃあ、いただきます」
軽く頭を下げる平助。
『伊東さんな~…良い人なんだけど、癖があるっつーか…
皆とやっていけんのかな?でも近藤さんが決めたことだし…』
帰り道、歩きながら考えていると
風鈴の音を携えた屋台が通る。
「あ!茜に買わなきゃいけねーんだった」
屋台を止め、沢山の風鈴の中から選ぶ。
しばらく眺める平助。
「おし、これだな!」
お代を払い、平助は茜の元へと足を早めた。
「茜。入るぞ?」
「うん、どうぞ」
「風鈴、買ってきた。これでいい?」
茜に渡す。
「ありがとう」
笑顔が零れる茜。
平助から受け取り、顔の前に風鈴を吊るして見る。
「綺麗なビードロだろ?」
「うん、綺麗」
風鈴に見入っている茜。
茜は立ち上がり、縁側に行く。
ふわっと風が揺れて、風鈴が鳴る。
「…綺麗な音」
風鈴を見つめる茜の表情に平助は心奪われていた。
「綺麗だね?」
平助を見つめる茜。
口元に笑みを浮かべて風に揺れる髪。
「ああ、綺麗だな」
平助は眩しそうに茜を見つめて応えた。
平助が帰った同日の夕刻。
茜のもとに男が一人訪れていた。
この男は名は椎名。茜の掛りつけの医師であった。
シュッとした身体付きや細い目から、一見、冷たく見られがちな彼だが、
患者からの信頼も厚く、道場からもよく声がかかっていた。
その目が優しさを携えて茜を見やる。
「茜、調子はどうだい?」
「…大丈夫です」
「見せてくれるかな」
小さな溜め息をつき、茜は渋々肌を露にする。
検診してく椎名。
検診が終わるとそそくさと着物を直す茜。
その様をくすりと笑う椎名。
耳の後ろに指をあてながら茜の口の中を覗く。
親指を目の下に宛てて、目の様子を見る。
「うん、いいね」
そのまま茜と口付けしようとするも茜に逃げられる。
ふっと笑う椎名。
「僕があのことを口に出してから本当に愛想がなくなったね、茜?」
椎名を少し睨むような茜。
「まぁ、僕はそんな君も好きだけど」
口角を上げる椎名。
「そうそう。今日、茜が前によく話していた平助くんを見たよ」
動きが止まる茜。
「…どちらで?」
「彼は江戸に帰ってきていたんだね?
今日、伊東道場に所用で寄ったら軽い怪我人が出てね。
それを診に行ったら見慣れない顔がいたから、伊東さんに聞いたら彼だったよ」
淡々と話していく椎名。
「怪我を負わせたのは彼でね。怪我人は手練れだったよ。
彼は強いんだね。剣では敵いそうにないなぁ」
茜は椎名が何を言いたいのか表情を伺っていた。
「茜、変な気を起こさないようにね?」
口元に笑みを浮かべているものの、目の中には何かが過ぎっていた。
「…」
「返事は?」
「…はい」
茜は小さく応えた。
外からチリチリンと風鈴の音が聞こえた。
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…何か、出てきましたね←
みふゆ