薄桜鬼・妄想小説【空が鳴っている】第22話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから→






キャラ崩壊、設定無視など、かなりのお目汚しです。



それでも宜しい方はどうぞ。


















近藤や沖田が大坂にきて1週間が過ぎた。

容態も安定していたので、松本はそれぞれに部屋を与えていた。

近藤や沖田が来てからはかなめはほとんど診療所で過ごして看病をしている。




「近藤さんにはおにぎりとお味噌汁に卵焼きに煮しめ。沖田さんはおかゆに換えて。
…近藤さん、足りるかな。あ、漬け物もつけて…。」

近藤が起きているのを確認して、お膳を部屋に運ぶ。


「失礼します。お食事お持ちしました」

「かなめくんか、入ってくれ」

近藤さんは既に床から起き上がることも出来る。


やはり新撰組の事が気になるのか、物思いに更ける様を見かける事も多い。


「いつもすまない」

「気にしないで下さい。近藤さんは沢山栄養を取って英気を養って下さいね」

「ありがとう」

二人で笑みを溢す。

「山崎くんもこんな可愛いお嫁さんを貰ってさぞかし嬉しいだろうな」

「ぃえ、そんな…」
思わぬ言葉に頬を染めるかなめ。

「遠く離れていて辛い時もあるだろうが、いずれこの戦いに勝利すれば平穏な時間がやってくる。
それまで山崎くんを待っていてやってくれ」

「…お気遣いありがとうございます」
かなめは近藤に深く頭を下げた。


「食事が終わったらまた総司の部屋に行っていいかな」

「わかりました。お食事終えられた頃にまた伺います」

「ああ、頼む」

襖が開く。そこにいたのは自分の膳を持った松本だった。


「先生?どうされました?」
かなめが問う。

「ぃや、たまには近藤さんとも食事を取りたいと思ってな。構いませんか、近藤さん?」

「いや、先生と食事とは嬉しいかぎりです」


「では私は沖田さんの所へ行ってきます」

「頼んだよ」

松本と入れ替わり、かなめは沖田の膳を取りに勝手場に向かう。




「沖田さん?入りますよ」

返事がない。

「失礼します」

沖田を見るとまだ寝ているようだった。


「お粥冷めてしまうなぁ…」

横にお膳を置いて小さく溜め息を吐いた時、
かなめの左手首を捕まれ、布団に引き込まれた。

布団の上で倒れ込んだかなめは引き込んだ主を見た。


「おはよ、かなめちゃん」
満面の笑みを見せる沖田。

「狸寝入りですか」
かなめは沖田を呆れたように睨みつける。

「ん?怖い顔して、何の事?」
沖田は上体をゆっくり起こす。不覚にもかなめはまるで膝枕されているような状態になってしまった。


「それだけ元気なら、自分で食事取ってくださいね!明日からおにぎりにしますから!」
かなめは怒りながら沖田の横に座りなおす。


「やだ。かなめちゃんのお粥がいい」

「…」
かなめは溜め息をつく。


「とりあえずお粥が冷めちゃいますから、食べちゃいましょ?」

「食べさせて?」
にっこりと笑う沖田。

「…わかりましたからちゃんと食べてくださいね。後で近藤さんがお見えになりますよ?」

「近藤さんが?じゃあ早く食べなきゃね」
沖田はかなめに微笑んだ。



「御馳走様でした」

「はい、お粗末様でした」

「美味しかったよ、いつもありがとう」
沖田は口元に笑みを浮かべた。

「どういたしまして。じゃあ近藤さん呼んできますから」
かなめは沖田の部屋を後にする。




近藤は日課のように沖田の部屋に行く。

途中、かなめがお茶を持っていくと、近藤は沖田に絡む思い出話をかなめに聞かせる。

沖田も少し困った顔をしつつも、喜んでいる。


近藤と沖田が兄弟のように慕っているのが手に取るようにわかった。

戦場を仕方なく離れ、直ぐ様戻りたいであろう気持ちをこの束の間の時間が静めてくれていた。

「土方さんの判断は正しかった」とかなめは思う。

穏やかな二人の会話をずっと聞いていたいと願わずにはいられなかった。















真夜中。


「…がっ!…ぐっ!うわぁっ!」


隣の沖田の部屋から呻くような声が夜の静けさを裂いた。




『沖田さん…?』

いつもの咳とは明らかに違う何か。



『…羅刹…!』

頭に屯所で見た羅刹が過る。


『私が止めなきゃ!』

部屋に駆け寄り襖を開けると、そこには白髪の沖田が布団から立ち上がり頭を抱え呻いていた。




「沖田さんっ!」


「かなめちゃっ…!来るなっ!…来るんじゃ…ない…!」

赤い目が苦しそうにかなめを見やる。


かなめは袂から山崎に貰った吸血衝動を抑える薬を出す。


「お薬です!早くこれをっ!」

沖田に薬を手渡し、枕元にあった水を差し出す。

沖田は受け取った薬を飲み、渡された水を飲み干した。


膝を着き、倒れそうになる沖田を咄嗟に強く抱き締めるかなめ。



しばらくして白髪は元に戻り、沖田は呼吸を整えていた。


「ありがとう。かなめちゃん…もう大丈夫…」

苦し気な表情をしながらもかなめに笑顔を向ける。



沖田は布団に座り、かなめも沖田を抱き締めたまま座る。


「…かなめちゃん?」


「…何故…羅刹になってしまわれたんですか…?」


「… …僕の意思だよ…。近藤さんが撃たれた時に…無力な自分にいてもたってもいられなくなった…。
僕は自分で羅刹になることを選んだんだ…」


かなめは腕をほどき、自分の顔を覆った。

泣いてはいけないと思うのに、涙が次々と溢れてきて止めることが出来なかった。


「…また怖い思いをさせてしまったね。ごめん」

かなめは顔を両手で覆ったまま、首を振る。


「…僕のために泣いてくれてるの?」

かなめは応えない。



そっとかなめを抱き寄せる沖田。

驚いたかなめは沖田の顔を見る。

そこには先程とは打って変わって優しく微笑む沖田がいた。



「ありがとう…。かなめちゃんがいてくれて良かった…」

沖田はそっとかなめに口付けた。



「…こんなことしたら山崎くんに怒られるね?」


「はい…、怒られます…」


「…僕も一緒に怒られるから…もう少しこうさせて?」


かなめをぐっと抱き締める。



「…僕の好きな人が…君で良かった…」

かなめの耳元で囁いた。




「かなめちゃん…」


「何で…山崎くんなの?」

「…こんな私をあんなにも好いてくれる方は他にはいませんから」


「…。そっか…」


「さぁ、お布団に入らないと身体が冷えます」

沖田の胸をポンポンと軽く叩くかなめ。


「…添い寝してほしい」

沖田はかなめを見つめながら呟いた。

「…」
軽く溜め息をつく。


しばらくの沈黙。

「あ、じゃあこうしましょう。待ってて貰えます?」

沖田から離れると部屋を出ていった。

戻ってきたかなめは自分の布団を持っていた。

沖田の布団の横に自分の布団を敷く。


「…かなめちゃん、これって…」
半ば気の抜けたような声の沖田。


「これも立派な添い寝ですよ?はい、お布団入ってください」

「…」
軽く溜め息をつく沖田。渋々布団に入る。


「おやすみなさい」
布団に入ったかなめは沖田に身体を向けて言葉を投げる。


沖田が布団から片手を出してかなめに向かってひらひらと振った。

「手…繋いで?」

かなめは溜め息をついた。

差し出された手を両の手で包む。


「…明日も一緒に寝てくれる?」

「今日だけです」
軽く睨むかなめ。


「かなめちゃんて結構酷いよね」

「…諦めの悪い誰かさんのせいじゃないですか?…これでも充分…怒られちゃいますから…ね…」


「…はいはい。何で君みたいな娘、好きになっちゃったんだろうね」
天井を見ながら呟く。


応えがないのでかなめを見ると小さな寝息をたてていた。


くすりと笑う沖田。

身を寄せかなめの手にそっと口付けを落とした。


手から伝わる温もりに沖田は久し振りによく眠れる気がした。









◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




七夕に羅刹になっちゃう男、沖田総司。


かっこいいじゃねーか(・∀・)



ん~。物足りないとは思いますが、
これで総司さんのかなめへの想いを昇華したつもりです。

これでも総司さん、かなり暴れたんですよ~?w
布団に入ろうとするしさっ!


エリョ行くと思いましたよねぇ…。

でも銃弾の傷はありますしねぇ。
フラフラで痛みを抱えながらエリョされても…ねぇ。

ぃや、それはそれで…←






「空が鳴っている」は最終話の後にもう1話あります。


で。次が最終話となります。


もう少しお付き合いくださいませm(_ _ )m






みふゆ