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第1話はこちらから→★
キャラ崩壊、設定無視など、かなりのお目汚しです。
それでも宜しい方はどうぞ。
屯所に戻った山崎はすぐに近藤、土方にかなめと祝言をあげたことを報告した。
近藤は手放しで喜び、土方は難しい顔をして暫く黙っていた後に祝いの言葉をくれた。
山崎は隊務の忙しい合間をぬって、それでも3、4日に一度はかなめに文を送ってきていた。
軽く新撰組の様子や近況などが書かれた後は、まるで恋文のような内容にかなめはいつも頬を染めてしまっていた。
山崎は1,2ヶ月に1度、2日の非番を貰う。
かなめと途中の宿場町で落ち合い、束の間の逢瀬を楽しんでいた。
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近藤と沖田が銃弾で撃たれたと早馬から伝わり、後に二人は大坂に護送されてきた。
玄関で迎える松本とかなめ。
運んできた隊士と共に山崎の姿もあった。
「烝さん…」
かなめの言葉に頷くだけで玄関をあがっていく。
松本が近藤、沖田の状態を診てから、山崎と隣の部屋へ入っていく。
かなめが近藤、沖田に付き添い、見守っていた。
「… …かなめちゃん?」
「沖田さん、気づかれましたか。大坂ですよ」
かなめは口元に少しの笑みを浮かべた。
「…近藤さんは?」
「隣でお休みになってます」
沖田が隣を見やると眠っている近藤の姿があった。
沖田は小さくため息をついた。
「近藤さんも容態は安定しています。疲れたでしょう。ゆっくりお休み下さい」
「…ありがとう。」
沖田は口元に笑みを浮かべた。
「…かなめちゃん」
「何です?」
「…また君に会えて良かった」
「またお世話させてくださいね?」
沖田は微かに笑い、小さな寝息を立てていった。
代わりの者と付き添いを替わり、自室で床につこうとしていたかなめ。
「かなめ、いるか?」
廊下から山崎が声をかける。
「烝さん」
かなめは立ち上がり、山崎を迎えた。
「かなめ」
山崎の胸に飛び込むかなめ。
「会いたかった」
「私もです。おかえりなさい」
「ただいま」
互いを見やり、笑う。
「本来なら副長の元にいなければいけないのだか…副長命令が降りた。
きっと気遣って頂いたんだろう。それでも明朝にはここを発たねばならないが」
「ありがとうございます。お身体変わりありませんか?」
「ああ、大丈夫だ。かなめも変わりないか?」
山崎の口元に笑みが浮かぶ。
「…はい」
かなめは笑顔で応えた。
「…かなめにも伝えておかなければならないことがある。座ろう」
二人は向かい合い、座る。
「局長も沖田さんも銃弾にて傷を負った。それは知っているな?
今のところは容態は安定している。」
「はい…」
かなめは目を伏せて頷いた。
「…沖田さんが…羅刹になっていた」
「羅刹?!あの羅刹ですか?」
目を見張るかなめ。
屯所で羅刹に襲われた時のことが脳裏に甦る。
「何故、羅刹に…」
「…。…羅刹に吸血衝動が起こるのはかなめも知っているね?」
かなめの問いには応えずに続ける山崎。
「はい…」
「かなめにも松本先生が作られた吸血衝動を抑える薬を渡しておく。
常に沖田さんの傍にいて、もし症状が現れた時にはきちんと対処してほしい」
山崎の目がかなめをまっすぐ見据える。
「はい…」
かなめは小さく頷いた。
しばらくの沈黙。
「…広間に戻られますか?」
「いや、松本先生が気を遣って下さったのか休めと言って下さった。」
山崎の目に優しい光が戻る。
「かなめ、会いたかった」
「私もです…」
どちらともなく寄り添い抱きしめ見つめあう。
お互いを確認するかのような深い口付け。
目が会い、軽い口付け。
「かなめ…」
「烝さん…」
山崎がかなめの額に、瞼に、頬に口付けを落としていく。
舌を首筋に滑らせ、山崎の手がかなめの胸襟に手をかけた時、
かなめの手が山崎の手を握った。
「烝さん、申し訳ないんですが…今日は…体調が優れません。これ以上は…」
「どうした?風邪か何かか?」
山崎が目を丸くする。
「…多分、そう…だと思います。すみません」
かなめは申し訳なさそうに目を伏せた。
「気にするな。無理をしてはいけない。今夜も冷えそうだ。そうならば早く休まないと」
「添い寝…してくださいますか?」
上目遣いで山崎を見つめるかなめ。
「勿論だ」
優しく微笑む。
「ありがとうございます」
気遣ってくれる山崎にかなめは胸が締め付けられた。
一緒に床に入る二人。
「熱はないのか?」
山崎はかなめの額に自分の額をつける。
「…なさそうだな。気分が悪くなったらすぐに言ってくれ」
「ありがとうございます」
かなめは口元に笑みを浮かべた。
「…久しぶりに会えたのに、かなめを抱けないのはちょっとした拷問だな」
「…すみません」
申し訳なさそうに山崎を見つめるかなめ。
「ぃや、いい。気にするな。可愛いかなめが隣にいるだけで安らぐ」
山崎はかなめを抱き寄せ、額に口付けを落とし、二人は眠りについた。
まだ夜も明けきらぬ朝方。
目を覚ました山崎は隣で眠るかなめを見つめていた。
いつも『この寝顔に次会えるのはいつだろうか』『これが最後かもしれない』と思う。
こんな夫を選んでしまってかなめは後悔しているのではないかと思い、
前に一度問うてみたことがあった。
するとかなめはみるみるうちに涙をボロボロと流し、
顔を真っ赤にして山崎に怒り始めた。
「貴方にすぐに会いたい時も、すぐ声が聞きたい時も、すぐ抱きしめてほしい時も、貴方を心底好いているからこそ、私は待っていられるんです!そんな私の気持ちを貴方は馬鹿にするんですか!」
堰を切ったかのようにかなめの口から出た言葉。
かなめは顔を両手で覆い、声を上げて泣いた。
山崎はすぐさまかなめを強く抱きしめた。
「すまない…。すまない、かなめ。俺が悪い。俺が悪かった」
しばらく山崎の胸の中で泣いてたかなめが呟いた。
「もう謝らないでください」
「…俺はどうすればいい」
「私への気持ちを聞かせてください」
山崎の胸元に顔を埋めていたかなめは上目遣いで山崎を見る。
「…いつも感謝している。かなめに会えない時はかなめを好いていることを認識させられるし、
今日のように会えた時にはかなめを心底好いていることを再認識させられる。
夫婦となった今でも…、日一日と経つごとに…かなめを愛しいと思う気持ちが大きくなっている。
かなめが俺を想ってくれているように、いやそれ以上に俺はかなめを愛してる」
山崎を見つめて言葉を聞いていたかなめは恥ずかしそうに顔を埋めて
「ありがとうございます」
と呟いた。
「…どっちが想ってるか勝負してみるか?」
「負けません」
山崎とかなめは顔を見合わせ笑った。
そんなやりとりを思い出して、山崎の口元に笑みがこぼれる。
山崎は寝ているかなめを抱き寄せた。
「…烝さん?」
「すまない、起こしてしまったか」
口元の笑みを残したまま、優しい目でかなめを見る。
「何を笑ってるのですか?」
不思議そうに見つめるかなめ。
「前の夫婦喧嘩を思い出してしまった」
「ああ…」
かなめも笑みを溢した。
「体調はどうだ?」
かなめの髪を撫でながら問う山崎。
「昨日よりはまだ…」
「無理はするな」
「ありがとうございます」
微笑んだかなめは山崎に口付けを捧げた。
「…」
「…どうかされましたか?」
山崎がかなめに覆いかぶさる。
首筋に舌を這.わせ、襟元や胸襟を緩め、白い肌に花を散らしていく。
「烝さん?」
「…お守りだ」
口角をあげて笑う山崎。
「じゃあ、私も…」
腕を山崎の首にからませ首元に花を散らす。
ふふっと笑ったかなめを見て、山崎は布団から出て立ち上がった。
「烝さん?」
「着替える」
「まだ早い時間ですよ?」
「…俺が限界なんだ。かなめはまだ寝ていろ」
かなめに背を向けて着替え始めた山崎の後ろ姿をかなめは愛おしそうに眺めていた。
出立の準備が出来、山崎とかなめは部屋で別れを告げる。
「おそらく、本格的に厳しい戦いがもうすぐ始まる」
厳しい目をした山崎がそこにいた。
「どうかご無事で…」
「ああ、いってくる」
かなめの額と口に優しく口付けを落とす山崎。
「お帰り、待ってます」
繋いだ手を離すかなめ。
山崎と隊士たちは大坂を離れた。
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近藤さん、総司さんは「大坂城に護送」となってますが、
めんどくさいのでw、松本先生の診療所に護送となってますm(_ _ )m
それと、あえて夫婦になって○年とか書きませんでした。いいですよね?
ああ、ザッキに我慢させちゃった…心苦しいな(:_;)
でも可愛いと思ったのは私だけですか←
「空が鳴っている」は最終話の後にもう1話あります。
次の次が最終話となります。
もう少しお付き合いくださいませm(_ _ )m
みふゆ