第1話はこちらから→★
キャラ崩壊、設定無視など、かなりのお目汚しです。
それでも宜しい方はどうぞ。
翌日の夕刻近く、松本のいる診療所に着いた。
診療所の玄関に入るとそこにはかなめの両親がいた。
「かなめ!お帰り!」
かなめの母が笑顔で迎える。
「父様?母様も?何でここに?」
目を丸くするかなめ。
「何でとは失礼やな。離れてた娘に会いに来て何が悪い」
かなめの父は怒ったような口調だが、口元には笑みを溢してかなめの前に立つ。
「頑張ったなぁ、偉かったなぁ」
かなめの母は駆け寄り、かなめの頭を撫でた。
そんなやり取りを見守る男が一人。
「あ!こちら私の上司だった山崎烝さんです」
かなめは慌てて両親に伝える。
「初めまして。山崎烝と申します」
山崎は頭を下げた。
「初めまして。かなめの父です。娘が大変お世話になりました」
「長い間ありがとうございました。扱いにくい娘やったでしょう?お役に立ちましたか?」
「ぃえ、扱いにくいとかそんなことは全く…」
山崎の声をかき消すように奥から松本が声をかける。
「おお、山崎君。遠路はるばるありがとう。かなめもお帰り。ご苦労だったな」
「先生、ご無沙汰しています」
山崎は頭を下げる。
「只今帰りました。」
かなめは笑顔で応え、頭を下げた。
「山崎君、最近のそちらの状況も知りたい。この部屋に上がってくれ」
「はい。あの…かなめくんのご両親にもお伝えしたいことがあります。…話を聞いて頂けないでしょうか?」
「はい、構いませんけど…?」
かなめの両親は顔を合わせる。
かなめの身体は一変に緊張してしまった。
かなめが最後に部屋に入ろうとすると
「かなめ、お前はここの自分の部屋で待っとけ」
かなめの父が言葉を投げた。
「え!でも…」
山崎を見ると山崎はかなめを見て頷いた。
「…はい」
かなめは応えて、診療所内の自室に向かった。
自室で荷物を解き、整理しようとするが手につかない。
先ほどから溜め息ばかりつくかなめ。
半刻ほどしてから廊下から声がかかった。
「かなめ、おる?」
「母様?」
襖が開けられるとかなめの母が部屋に入ってきた。
「かなめ。山崎さんから聞いたで?びっくりしたで、ほんまに。あんた新撰組に婿取りに行ってたんか?」
「違う、私はちゃんと真面目に…!」
反論しようとするも、母の言葉に上手く切り返す言葉が見つからない。
「…でも好きになってしもてんもん、仕方ないやん…」
かなめは俯きながら呟いた。
「ええ人そうやね、山崎さんて」
その言葉に驚いて母の顔を見ると口元には笑みを浮かべていた。
「私は反対も何もあらへんよ。かなめが決めた人やろ?じゃあ、大丈夫やわ」
母の言葉を聞いたかなめの目からは次々と涙が零れた。
「なんや、あんた新撰組行って泣き虫になって帰ってきたんか?」
かなめの母はカラカラと笑った。
「…ありがとう、母様。…父様は?」
「一人、先に帰ってしもたわ。…また後でちゃんと話しときや?」
「うん、わかりました」
「私も先に帰るわ。山崎さんはまだ先生とお話してるから。今日帰ってくるやんね?また後で」
かなめの母は笑みを溢しながら部屋を出て行った。
かなめは全身から力が抜けるのを感じた。
『先生と烝さんにお茶持って行こう』
そう思ったかなめは自室を後にした。
勝手場に向かおうとしていた時、部屋の襖が開いて松本と山崎が出てきた。
「かなめ、良かったじゃないか」
松本が口を開いた。
「へ?何がですか?」
「山崎くんと夫婦になったんだろう?めでたいな」
松本はにこにこと笑いながらかなめを見やる。
「…はい。ありがとうございます」
かなめは頬を染めて、頭を下げた。
「山崎くんなら間違いないな。山崎くん、時間がある限りゆっくりしていくといい」
山崎の肩をぽんと叩いて、立ち去る松本。
「お気遣い、ありがとうございます」
山崎は松本の背中に頭を下げた。
二人はかなめの部屋に入る。
山崎は大きく息を吐いた。
「烝さん、その…ありがとうございました。両親が来ているとは思わなくて…」
「気にするな。先生には報告するつもりだったし。むしろ今日先生とかなめのご両親両方に報告出来てよかった」
目を伏せて口元には笑みを浮かべる。
「だが…。流石に緊張はした」
かなめを見て、笑顔を溢した。
かなめは山崎の胸に飛び込んだ。
「全てが落ち着いたら…今度はかなめを俺の実家で紹介しないとな」
「そうですね、頑張ります」
二人は互いを見やり、笑った。
「少し休んでいかれますか?」
「…ぃや、もう充分休ませてもらった」
先ほどまでの表情はなく、新撰組の山崎がその目の中にいた。
「そう…ですか。玄関まで送ります」
「いや、見送りはいい」
「…」
言葉が出てこないかなめは山崎にきつく抱きしめられ、山崎はかなめの首元に顔を埋めた。
「見送られると後ろ髪が余計にひかれてしまう」
耳元で呟く。
「はい…」
見合ったあと、かなめの方から口付けを交わす。
互いに名残惜しそうに口を啄ばんでいく。
「きりがないな」
山崎はくっと笑って、かなめの額に口付けを落とした。
「…待っています」
「ああ。いってくる」
山崎はその場を離れ、足早に診療所を後にした。
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第19話に入れるつもりだったんですが、あまりに長くなってきたので切りました。
個人的には気に入っている話です。
ちょっとザッキに試練を与えてみましたww
ゲームなどでは千鶴の設定上、攻略キャラが両親に挨拶なんてありえないお話ですから。
…あれ、もしかしてありますか?(;´д`)
ザッキ、よく頑張りました

あ。第19話の二人の初夜。
短めですが、エリョ追記してます。
見逃した方は読んでやって下さいね(^^ゞ
みふゆ