薄桜鬼・妄想小説【空が鳴っている】第4話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから→






キャラ崩壊、設定無視など、かなりのお目汚しです。


それでも宜しい方はどうぞ。













かなめが屯所に来て、1週間が過ぎた。

毎日めまぐるしく働いている。


山崎は監察も兼ねているので、屯所にいる方が珍しい。

かなめが来て2,3日は気を遣ってか共にいてくれたが、
今はいないときの方が多い。

だが、少しでも時間のある時は屯所に戻り、
土方に報告などを終えると医務所に寄って行く。


かなめが記していく帳面を読み、それを元に意見交換していく。


『屯所にいるときぐらい休めばいいのに』

かなめはそう思うことが多々あった。






『今日も一人で食事かぁ…』

一人で食事を取っていると大坂にいた頃を思い出しやすい。


『父様と母様は元気なんやろうけど…』


両親から来た文には

「新撰組だろうが、何だろうが、精一杯医療を尽くして来い。」

と書かれていた。

そんな両親に感謝するものの、
急に長期間離れることとなったため家が恋しくなる。






「かなめちゃん。入っていい?」

「はい、どうぞ」

障子が開く。


「沖田さん。おはようございます」

「おはよ。今日も山崎君いないでしょ。
良かったら僕達と一緒に食べない?」


「でも…」

「一人で寂しくない?大丈夫、土方さんには許可取ってるから。

千鶴ちゃんも喜ぶと思うんだよね」

沖田が笑みを浮かべる。


「わかりました」

気を遣ってもらっているんだと思うと有難い反面、申し訳なくもなる。






広間に移動し、千鶴の隣に座るかなめ。

食事は山崎との食事とは打って変わって賑やか過ぎるものだった。



「…千鶴ちゃん、いつもこんな感じ?」

「はい、普段どおりですよ?」

「そうなんや…」


『私は山崎さんと淡々と食べるほうが性にあってるのかもしれへんな…』

小さな溜め息をつくかなめ。




「どうしたの?何か浮かないね、かなめちゃん」

沖田がかなめに声をかける。


「総司、唐沢に向かってちゃん付けはないんじゃないの?」

「そうだ!男子たるもの、ちゃん付けでは可哀想だろうが」

藤堂と永倉が声を上げる。


「はぁ?お前ら、唐沢のこと男だと思ってんのか?」

原田が目を丸くしながら、呆れたように言葉を投げた。



チン!カタカタカタ。


「すまないっ…!」


斎藤が箸を落として慌てて拾う。



「一君もなんだ…」

沖田は小さく呟いた。


「か、唐沢。本当かよ…」

「女なのか…?」


かなめは永倉と藤堂を睨みつけながら頷いた。






食事後、かなめと千鶴は勝手口で食器を片していた。


「千鶴ちゃん、いつも手伝えなくてごめんね?」

「ぃえ、かなめさんは山崎さんの補佐のお仕事がありますから」


「私も手ぇ空いたときには手伝うようにするから。」

「お気持ちだけでいいですよ。ありがとうございます」

千鶴の笑顔にかなめは嬉しくなってしまう。


「千鶴ちゃんてええ娘やなぁ。
皆に可愛がってもらってんのもわかる気がするわ」

「そんな!私は…」

「私なんて男装ばれてなかったしね…」

ため息まじりに呟く。


「それは…!私が来た時も永倉さんと平助くんはわかってませんでしたから」

「は?千鶴ちゃんの男装がわからなかったの?
じゃあ、私の男装わかるわけないよねぇ…」

自嘲的にかなめは笑った。


「ここの屯所は広いからなかなか会えへんけど、また私と話してくれる?」

「勿論です!私もかなめさんとお話出来るのが楽しいです!」


「ありがとう。じゃあ私そろそろ行くね」

「はい、お仕事頑張ってくださいね」

「千鶴ちゃんも無理せんように」

互いに笑いかけ、かなめは千鶴と別れた。









その日の夜、かなめが怪我や病気の隊士の今日の様子をまとめていると障子が開いた。




「山崎さん、おかえりなさい。ご苦労様です」

「… …ただいま。」


「今日は早かったんですね」

「ああ」


「食事はすまされましたか?お茶、煎れてきますね」

「ぃや、俺は構わない」


「私も飲みたかったとこなんです。付き合っていただけませんか?」

「じゃあ、もらうことにするよ」


山崎の返事に笑顔で応えたかなめが部屋を出て行く。


山崎は帰ってきて、かなめの姿を見るといつも戸惑ってしまう。

いつも自分だけでやっていた仕事をかなめが補佐してくれるようになって。

帰ってくると「おかえりなさい」と迎え入れてくれる。


そのことに未だ慣れないでいる。

反面、迎え入れてくれるかなめを見ると、身体から緊張が解けるのを感じていた。





かなめの記していた帳面に目を落とす。

事細かに怪我や病気の隊士の様子が書かれている。

『松本先生がかなめくんを新撰組に預けた理由がわかる。』と思う。





「失礼します」

かなめが部屋に入る。


「あ、まだ帳面書きかけなんです。すみません」

「ぃや、構わない」


「お茶、置いておきますね」

「ありがとう」


暫く、怪我や病気の隊士たちの様子についてかなめから報告を受け、指示をする山崎。



一通り話し終え、二人でお茶を飲む。


「そういえば、今日初めて幹部の皆さんや千鶴ちゃんと一緒に
食事を取らせて貰いました」


「そうか、それはよかった。
俺も君が一人のときは寂しくはないか心配していたんだ。

楽しかっただろう?
これからも俺が屯所にいても君は皆と一緒に食事を取ればいい」


「ぃえ、でも…」

かなめは言葉を濁した。


「どうした?」

「余りに賑やかなんで…。その…、山崎さんと食事してる方が落ち着きます」

「…そうか」

「はい」

屈託のない笑顔で山崎を見るかなめ。


山崎は不意に込み上げてきた感情を抑えようと湯飲みを手に取り一口飲んだ。



「あ、聞いてください。永倉さんと藤堂さんに斎藤さんも私の男装わかってなかったんですよ?」

山崎はもう一口飲んだお茶を噴きそうになったのを必死で堪えた。


「そう…なんだ」

「どう思います?酷くないですか?」

眉間に皺を寄せ、山崎に問うかなめ。


「俺は君の娘姿を見ているし、きちんと女性だと思っているよ」

「…。…じゃあ、いいです」

今更、山崎に恥ずかしいことを言ってしまったと思い、
かなめは頬を染めて俯いた。







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この話の一番の見せどころは






斎藤さんが箸を落とすところです!!!←




山崎さん、自覚出てきたんかしら?
どーなんでしょ。







みふゆ