ニーズ⑤「自立・重度化予防」は

「日常生活動作(ADL)」の領域

のなかの自立・重度化予防です。

 

前回からの、くり返しになりますが

「日常生活動作(ADL)」とは、

食事、入浴、排泄、更衣、整容、歩行

といった日常生活を行うのに必要な

基本的な動作のことですが、

単に、これらの基本的動作が

できないことをアセスメントチャートに

羅列しても、適切なケアプランは

作成できません。

「できない理由」を見つけることが必要です。

「できない理由」は、いくつもあります。

 

一番、思いつく理由は、

「機能」の問題でしょう。たとえば、

脳血管障害などの後遺症によって

左右どちらかに麻痺が生じる。

そのためにADLに支障が出る。

だから、プランとしては、

機能訓練をして機能向上に努めるか、

維持するか、ということになります。

 

今回のニーズの「自立」を目指すか、

「重度化になることを予防する」か、

というところですね。

 

これが一番わかりやすい

自立・重度化予防の例ですが、

この「機能」の問題だけで

自立・重度化予防は収まりません。

また、「機能」を低下させる原因は

「麻痺」だけではありません。

 

それではまず、「機能」を低下させる

原因には、他にどんなものがあるか。

それは、いわるゆる「病気」です。

「病気」というニーズは、ニーズ①の

「慢性疾患の管理」に挙げていますが、

それはADLにも影響を与えることを

覚えておく必要があります。

 

風邪などによる発熱で

ふらついて歩けないとか、

そういうことは私たちにも

あります。また、脱水症によって

体が動かない状態になることも

あります。

慢性的に水分不足であれば、

体が動かせない、とまでは

いかないまでも

だるい・ボンヤリしている

といった状態によって、

動作ができないこともあります。

 

そのあたりは医療との兼ね合いに

なるわけですが、少なくとも、

「機能」的にできない状態を

見つけた場合は、それが

身体機能の低下によるのか、

病気がそうしているのか、

といった見極めは必要です。

 

ただし、心配しないでください。

「病気」を見つけると言っても

なにも医師のような診断を

しなければいけないと

言っているわけではありません。

 

発熱していないか、

必要な水分量は足りているか、

ぼんやりしていないか、

だるそうにしていないか。

 

例えば、親が赤ちゃんの様子を見て

(いつもと違うな)というような感じ、

といえば分かりやすいでしょうか。

 

まとめてみますと、ADLの

ある動作ができないとなって、

「機能」面からできない原因を

探すとき、「身体機能」によるものか、

「病気」が隠れていないか、

といったアセスメントが必要です。

 

 

次回は、

「機能」以外の原因について、

考えてみましょう。