「身体」・「社会」・「精神」の

3つの関係性について

こんなお話もしておきたいと思います。


「身体」の改善が「社会」の改善に、

「社会」の改善が「身体」の改善に、

それらが「精神」へ良い影響を与える、

というお話です。




どういうことかというと、

「社会性」を高めるためには

「身体」的に良い状態でなくては

いけません。


ごく簡単な例をあげれば、

移動するのに全介助状態である人が

社会的な交流を図ろうとすると、

誰かの手を借りなくてはいけません。

本人の社会性に介助者の都合が

入り込んできてしまうわけです。

移動が自立している人のほうが

だんぜん社会性の獲得に近いわけですね。


もちろん、インフルエンザにかかっている人は

会社や学校を休まなければいけません。

「身体面」の不足が「社会性」に影響してしまうのです。




いっぽう、「社会」の改善が「身体」に

影響する、という話は、例は少ないかも

しれませんが、こういう話があります。


とある通所リハビリでのお話。

脳卒中で片麻痺の残ったAさんがいました。

Aさんは料理講師をしていましたが

障害を負って自信を失い、講師の仕事が

できなくなりました。

(「身体」の障害が「精神」に影響し、

「社会」面を損なった、ということですね)

ある日、通所リハビリの職員から

「障害がある人でも調理ができる方法を

考えてみてくれないか」と提案されて、

道具を開発したり、やり方を工夫したりして

やがて「障害がある人でもできる料理教室」

というものを開くことができたそうです。


それだけではありません。

Aさんは麻痺した右手が

少しずつ動かせるようになったのです。


これは、さっき言った

「社会」面を整えることによって

「身体」面が改善された事例です。

その間には”意欲”という「精神」面が

改善されていることは言うまでもありません。


これはレアケースなのかもしれませんが、

例えば50代のバリバリ現役世代で脳卒中になり、

会社への復帰を目指してリハビリへの意欲があふれる

というのも「会社への復帰」という社会的な目標が

明確にあるからこそ、身体機能を改善させるべく

モチベーションがすでに整っているということです。


ほかにも障害を負っても応援してくれる妻がいるとか、

元気になって旅行がしたいとか、

元気になりたいモチベーションは周囲の環境がよい

ということが条件に上げられると思っています。

孤独で孤立した状態で、その上障害を負って…

という方が辛いリハビリに耐えて頑張る、

という姿は想像できませんよね?


「身体」・「社会」・「精神」の3つは

お互いが関係性を持っている。

そのことを意識して(Zさんはここが不足して

いるが、こうすれば充足するのではないか)と

いうようにマネジメントしていくことが

まさに「ニーズに対応するケアマネジメント」

なのですね。