*このお話は「言葉にできない」 での出来事のすぐ後。

 お互いの気持ちを確認した後、初めての2人で過ごす週末のお話です♪

 昨日なうでブロ友さんの書き込みを読んで思いついたエ ロ話でゴザイマスw









金曜の夜。


仕事を終えて帰ろうとして、まだ自分のデスクでパソコンに向き合ってる


端正な横顔をチラリと盗み見る。




まだ仕事、終わらないのかな。


先に帰っちゃおうかな。


それとも、まだ仕事が残ってるフリして待ってようかな。





――――――待ってても、仕方ないのかな。




約束なんてしてないから。






あなたがいれば何もいらない。




お互いの気持ちを確かめあってから、初めての週末。




もしかしたら誘って貰えるかも、なんて淡い期待を持っていた自分を


密かに自嘲して「お先に失礼します」と


特定の誰かに言うわけでもない挨拶をオフィスに残して


エレベーターへと一人向かう。





廊下の腰高の窓から見える、既に日が落ちたオフィス街の風景はいつもと同じはずなのに


どこか物悲しく、寂しいものに見えた。




他に待つ人のないエレベーターに乗り込み、1階のボタンを押して


一番奥へと進み壁にもたれると、数日前この場所で突然重ねられた唇の感触が蘇る。






これがあれば、他に何もいらない。





僕に感情を露わにすることのない上司が囁いた言葉が


耳の奥にまだ残っている。



それでいて、僕の中であれは本当に現実だったのかと疑ってしまう気持ちもあった。





あれ以来僕たちはキスも交わしてはいない。


もちろん、2人きりで過ごしてもいない。






唇に微かにまだ残るこの感触が


身体に残る愛しい人が残した不埒な痛みと幸せな充足感が



時間が経つにつれ少しずつ消えていくのに比例して


あれは本当に現実だったのか


上司が向けてくれた僕への気持ちは、単なる肉体的な欲望に駆られただけの


一過性のものだったんじゃないかと思えてきて、不安になった。







分かってるんだ。



こうやって確かめようともせず、自分に自信が持てないままに


自分の中でぐるぐると考えてしまうのが僕の悪い癖だって。



これまでの恋愛も、些細な事で自分一人で悩んで不安になって


結局は相手を信じられなくなって終わりを迎えてしまうパターンを繰り返してきた。






しかも今回の恋愛は、普通とは違う。



どうして会社の上司で、同性の相手に恋なんてしたのか今となっては分からないけど


入社した時から


その無駄のない仕事振りや立ち振る舞いを尊敬していた上司に対する気持ち

いつしか憧れに変わり、恋心へと変わって行った。






あの大きな胸に抱しめられたい。


気が付けばそんな欲望を内に秘めている自分に気付いた。



そしてその叶うはずもない欲望がある日突然、半ば強引に現実になった。


愛しています。


想いを伝え、受け止めて貰ったばかりだと言うのに


その腕から離れた途端、こうして不安は付きまとう。



我ながら自分の女々しさにため息が何度となく出た。







エレベーターを降り、1階ロビーにある受付の前を通り過ぎた時


携帯電話が着信を知らせる音が鳴り、ドキリと心臓が跳ねる。




もしかして。




焦りながらもジーンズの後ろポケットに差し込んでいた携帯電話を取り出すと


ディスプレイには愛しい人の名前が示されている。


それを見ただけで更に胸が高鳴った。






「……はい」




できるだけ平静を装って電話に出ると、


「今から行くから、スタバの前で待ってて」



低くて甘い声が僕の耳の奥をくすぐる様に響いた。






→『甘い密会 2』へ続く



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