昨日、とある取材を受けたときに、先週くらいにツイッターで盛り上がっている話題というのを聞きました。

その話題とは

「ファミコンって当時、1秒間に15フレームだったんで高橋名人の1秒間16連射って意味ないんですよw」

という内容でした。

これについては、今から5年ほど前にやったイベントでも、私が言っていたので、間違いでは無いのです。
私としては今更感があるのですけども、変な風になってもいけないので、私なりの解説をしてみたいと思います。
専門的に説明すると、細かな説明をしなければいけなくなるのですが、ここでは一般の方にも分かる位にさせていただきますので、細かな疑問点が生じた方はご容赦ください。
それとここで説明に使うゲームは、「スターフォース」と「スターソルジャー」の事であり、それ以外のゲーム、例えば「ハイパーオリンピック」や「迷宮組曲」のオープニングの連射測定機能の場合とは異なります。


さて、コンピュータゲームというのは、信号のやりとりによって、その動作が決まっていきます。
方向キーの右を押せば、自機は右へ移動しますし、AかBボタンを押せば、ショットを一回の押す動作につき、1ショット撃つことが出来ます。

この動きをさせるためには、コンピュータ側から、「ボタンを押しますか?」という様な問い合わせを出す必要があります。
その問い合わせがあった時に、Aボタンが押されていたら、押されていたという情報がコンピュータ側に送られて、そのボタン信号に合った動きを行うのです。

逆に言えば、コンピューター側からの問い合わせが無い限り、どんなにボタンを押しても、反応する事は無いのです。


今回の話題では、このコンピュータからの問い合わせを、「1秒間に何回行うか?」というのを元にして話しを進めて行かなければいけません。


日本のTVは、NTSCという規格を採用しています。
この規格は、1秒間に60フィールドという更新を行っていますので、最大限で考えると、1秒間に60回の問い合わせを行う事で、ゲーム画面との同期が取りやすくなります。

今のPS3やXbpx360の様なゲーム機の場合は、その問い合わせを1秒間に60回行っていると思いますが、当時のファミコンの場合、60回にしても、全く意味がありませんでした。
だって、そんなに精度を要求する様なゲームではなかったですからね。

よって、この問い合わせの回数を半分に減らしたのです。
それが1秒間に30回という数値でした。
その問い合わせに対して、ボタンを押した信号を返すわけですから、1秒間に15回以上ボタンを押しても意味が無いのです。

ただし、先に書いておきますが、これは「スターフォース」の場合です。

スターフォースは、1画面上で最大3発のショットしか表示出来ませんでした。
私がデモンストレーションを行ったとき、連射を見せる場合は、自機を上に移動させて連射をしていました。
これは、最初のショットがすぐ消える様にするための演出だったのです。

もしも、自機が下位置に合った場合、3発撃った最初のショットが画面上部まで移動していって、画面から消えるまで、次のショットが撃てないのです。
よって、連射によって、連続で撃っているというシーンを見せる事が出来ません。


そこで敵が出現するまでの間、出来る限り上に移動して、連射をしていたのです。

それでも、最大で15発でした。

スターソルジャーの場合、当時の副社長である工藤浩さんから、
「今、高橋の連射が人気なのだから、子供にもそれに挑戦してもらった方がいいんじゃないか?」という提案があったので、プログラマーの野沢さんが、それに対処する様に、問い合わせ回数を増やしたのです。
よって、スターソルジャーの場合は、1秒間に16連射が必要なラザロが誕生したのです。

どういう回数の問い合わせ要求をさせたのかは、私には分かりません。
スターソルジャーの場合は、最大で5方向の弾が撃てたので、1画面での表示数も、スターフォースと比べると数倍にもなっています。

まぁ、スターフォースとスターソルジャーでは、メモリー容量が2倍有りましたからね。

こんな説明では、わかりにくいかもしれませんが、

「ファミコンって当時、1秒間に15フレームだったんで高橋名人の1秒間16連射って意味ないんですよw」

という話題に関しては、スターフォースに関しては正確な情報だけども、スターソルジャーの場合は違っている。という結論になります。

ハイパーオリンピックの場合にしても、1秒間に15回のボタン動作しか認識出来なければ、最高速の値が決まってしまいますからね。
そこら辺は、スターソルジャーと同じ様な問い合わせ回数にしていたと思われます。
そして迷宮組曲の場合は、画面上に数値を出すだけのプログラムですので、更に簡単です。
ただし、迷宮組曲の場合は、過去10秒間に押されたボタンの回数を表示していたので、その分の記録用のメモリー(「バッファ」と言います)が必要でした。

ちなみに、私が連射を見せたのは、1985年のスターフォースが最初でした。
この時期は、連射の回数を計る機械なんかありませんので、だいたい16連射かなぁと…(笑

ハッキリ言って、嘘ですが、そう言っていました。

その後、1986年にスターソルジャーが発売になって、あの毛利名人との映画の中で、連射をしているシーンのフィルム240コマ。

映画の場合は、1秒間に24コマなので、10秒間分のフィルムを抜き出して、ADさんが数えてくれた結果、最大で174発の弾を撃っていた様です。

なので、86年の私は、「17連射」が正確だったのですが…
すでに「16連射」と言ってたし、16の方がコンピュータ用語にも合っているしで、そのまま16連射にしてたのです。

まぁ、そういう事です。

という事で、もう一度書きますが

スターフォースに関しては正確な情報だけども、スターソルジャーの場合は違っている。という事です。



じゃ、お昼に行って来ます!