11日のメインは加ドルであったようだ。 今回のBOC理事会は金利据え置き予想が大半であったため、それ自体はなんら驚くことではなかった。 だが、それまで市場の読みとしては「今回は据え置いて次回9月に利上げを」というシナリオが多く、いままで出てきた経済指標の好調さを見てもその考えに納得できるような状況であったため、声明文が今後の利上げの可能性すら打ちけるようなハト派的な内容で出てきたとき、市場は失望につつまれ、加ドル売りが目立つ結果となった。
その声明文であるが、先の内容の他にも'07-08年の成長が予測を下回る可能性や加ドル高をけん制する内容も見られたことが、加ドルの失望売りにつながっていると見られる。
さて今週のIMMポジションであるが、個人的見解ではロングとショートの分岐点は1.13と見ており、週末に出る数字はもしかすると加ドルがショートになっている可能性が高いとみられる。 円も荒れそうだが。
それ以外では、オセアニア通貨の上昇が目立つ。 海外勢は本日発表のウエストパック消費者信頼感が3ヶ月ぶりに上昇したことが評価され、豪ドルを中心として買いが出ている様子。 昼過ぎからのドル/円上昇の原動力となった可能性がある。 なぜなら今回はドル/円やユーロ/円よりも、豪ドル/円が先に動いたからである。
この動きにつれてNZドルも70円後半をつけており、70.80円付近に位置する4月高値からのラインを突破できれば、71.50円前後が次の目標値として見えてくる。 それでも72円は近くて遠くに感じる。
あとインターバンクの世界では本日ポジションを持ち越すとスワップがいつもの3倍に加えて本邦が休日のため、さらに1日分追加して4日分のスワップがもらえるということで、一部にはこういったスワップ狙いの取引も出ている様子。(注:ai 明治FXは毎日ならして付与するため、インターバンク方式とは異なっております。 ご注意ください) そうすると、朝方のレート次第ではこれらのスワップでの鞘取り狙いの筋からの利益確定の売りが出ることも予想されるが、貿易収支の結果が悪ければ下げきったところで買いが出る、というシナリオもある(下げきったところを見極めるのは難しいが)。
指標など主な材料は以下の通り。
○10日
【英】5月ODPM住宅価格 前月比+5.6%(市場予想+5.3%、前回+5.1%)
6月PPI (産出) 前月比+0.1%(市場予想+0.2%、前月+0.4%←+0.3%)
前年比+3.3%(市場予想+3.2%、前月+3.1%←+3.0%)
(投入) 前月比-0.2%(市場予想+0.0%、前月-0.6%←-0.5%)
前年比+11.0%(市場予想+11.7%、前月+13.7%←+13.9%)
【米】5月卸売在庫 前月比+0.8%(市場予想+0.5%、前月+1.3%←+0.9%)
卸売売上高 前月比+1.6%(前月+1.5%←+1.3%)
米5月消費者信用残高 44.2億ドル(市場予想+35億、前月+9.4億←+106億)
・パラモECB専務理事 … ユーロ圏インフレ率は当面2%を上回る状況が続く
○11日
【仏】5月貿易収支 -17.97億ユーロ(市場予想-21億、前月-20.00億)
【英】5月貿易収支 -67.53億ポンド(市場予想-57.0億、前月-55.68億←-57.50億)
6月BRC小売売上高 前年比+2.3%
全店ベース 前年比+4.7%(市場予想+4.3%、前月+6.2%)
【加】BOC理事会は4.25%で金利据え置き
5月新築住宅価格指数 前月比+1.3%(市場予想+0.7%、前月+1.2%)
【米】Q1米小売業利益 売上高1ドル当たり3.5セント(Q4は3.7←3.5)
・EU … スロベニアの2007年ユーロ加盟を承認
・EU財務相会合 … 一部で若干のインフレの警戒感。 全体的には経済成長の加速を認識
・ホワイトハウス … ’06会計年度(10-9月)財政赤字が2月時点で推定されていた-4、930億ドルから
-2,960億ドル(GDP比2.3%)に減少する見込み。
'08年度には-1,880億ドル(同、1.3%)と予測。
・インドのムンバイで列車爆破事件が発生
○12日
【豪】7月ウエストパック消費者信頼感指数 107.4(前月103.8)… 3ヶ月ぶり反発
※これを受けてウエストパック銀行は今年Q4での利上げを予想
【英】6月失業率 3.0%(市場予想3.0%、前回3.0%)
失業者数 +5,900人(市場予想+5,000人、前回+5,600人←+5,800人)
本日この後は、もう【米】5月貿易収支(21:30)しか目に入っていないような状態である。 ちなみに同時刻に【加】5月貿易収支もあり、こちらは数字がよければ加ドルが買い戻される余地はあることから、いくらBOCが利上げサイクル停止の可能性が濃厚とはいえ、売りをかけるときは気をつけたい。 あとは明日朝の【NZ】5月小売と【豪】6月失業率が注目されよう。
チャートで見るとドル/円は115円の大台狙い、越えれば115.30-40ゾーンのリトライが視野に入ってくるが、下は114円の節目であろうか。 小動きとはいえ、値動きは早そうな気がする