分子栄養学のススメ

分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

いつも『分子栄養学のススメ』をお読みいただき誠にありがとうございます。
来年1月より情報発信の方法のリニューアルを行う予定です。
そのため、2020年5月より月2回投稿しておりましたこちらのブログをしばらく休止させていただきます。
コロナ禍で勉強会の開催や対面のご相談ができない中、少しでも多くの方に三石理論を知ってほしいという思いでブログでの情報発信を行ってまいりました。
現在では勉強会や対面でのご相談も再開し、今後は少人数でのセミナーなどの開催も検討しております。
投稿を楽しみにしていただいていたお客様には大変申し訳ありませんが、ご理解いただけますと幸いです。
今後の情報発信の方法につきましては、詳しいことが決まり次第お知らせいたします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 

株式会社メグビー

タンパク質は、筋肉をはじめ、臓器、血液、皮膚、髪、歯、爪など、身体のあらゆる組織をつくる材料になります。


さらに、身体の機能を調整するホルモンや酵素、抗体、神経伝達物質などの材料でもあり、免疫や代謝、血圧の調整、神経機能の維持などにも重要な役割を果たしています。

 

■高タンパク食10のメリット

 

①貧血になりにくい


「貧血」とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンという物質が少なくなった状態です。

ヘモグロビンは、鉄分を含む「ヘム」とタンパク質が結合してできています。
そのため、まずはタンパク質を摂取し、鉄の吸収を高める「ビタミンC」、造血に必要な「ビタミンB群」「鉄・マグネシウム」などのミネラルをあわせて摂ってはじめて貧血対策となります。

 

②血圧が正常に保たれやすい
 

タンパク質は血管をつくる材料のため、不足すれば血管はもろく破れやすくなります。
タンパク質には脂肪が沈着するのを防いだり、塩分の排出を促すなど血管の若さを保つのに欠かせない働きがあります。

 

③ホルモン分泌が正常に保たれやすい

 

ホルモンは身体の恒常性を保つ重要な働きをしています 。
ホルモンの働きは、健康維持のためにいろいろな機能を調節することです。
私たちの身体がいつもバランスよく保たれている状態を「恒常性(ホメオスタシス)」といいます。 ホルモンは恒常性を支える重要な働きを行っています。

タンパク質は、ホルモンの原料やホルモンを分泌する腺や臓器の材料となるため必要不可欠です。

タンパク質が不足すると、性ホルモンの分泌が減少することも知られています。

④ウイルスに感染しにくい

ウイルスは、隙あらばと鼻や喉の粘膜を狙っています。
ウイルスはいったん粘膜にとりつくと、秒単位の速さで細胞の中に侵入します。
その結果、寒気、鼻水、くしゃみ、頭痛、喉の痛みなどの諸症状があらわれます。
風邪薬は喉の痛み・鼻水などの症状を抑えるだけで、ウイルスをやっつけるものではありません。

 

ウイルスの侵入を防ぐのはコラーゲン(タンパク質の一種)という身体の細胞をつなぎ合わせている結合組織です。


タンパク質とビタミンCでコラーゲンの密度が高くなり、ウイルスを寄せつけなくします。


また、インターフェロンや白血球などタンパク質を主体にした身体の防御軍がウイルスを退治します。


熱が出るのは、白血球の増加を促すのに有効で、風邪ウイルスには都合の悪い条件です。


タンパク質とビタミンCをたっぷり摂って「早くおやすみ」が一番の特効薬です。
 

⑤内臓障害が起こりにくい


・糖尿病になりにくい
 

糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞でつくられるインスリンが不足し、血糖が過剰になる病気です。
インスリンは、50個のアミノ酸が集まったタンパク質です。

インスリンの分泌を盛んにするためにもタンパク質の摂取は重要です。

・腎臓病になりにくい

 

腎臓の具合が悪く、尿にタンパクが出ると聞くと、タンパク質を摂ってはいけないと思いがちです。

たしかに、腎臓病は水分、ミネラル、タンパク質の摂り方について色々制限のある病気です。

腎臓は糸球体という濾過装置で血液を濾過し、老廃物を尿として排泄しています。

この濾過装置のふるいの目が粗くなって、血液中のタンパク質などの栄養価がどんどん流れていくなら、食べ物で大いに補給する必要があります。
逆にふるいの目が詰まって、捨てるべきものが血液中にたまるようなら、食べ物を選ばなくてはなりません。
タンパク質を制限する時は、急性腎炎の初期、慢性腎炎の憎悪期、腎不全の場合などです。
ただし、慢性腎不全の時にタンパク質を制限しすぎるとマイナスになるため、良質タンパクを必要量摂ることは重要です。

・肝臓病になりにくい
 

肝臓は最も大きい臓器で下記のような重要な働きを行っています。
・摂取したタンパク質を身体のタンパク質に作り替える
・ブドウ糖をグリコーゲンとしてたくわえ、必要な時にぶどう糖にする
・ビタミンA、ビタミンDなどを脂肪と一緒にたくわえる
・薬品や毒物を解毒する
・胆汁をつくる
・ホルモンのバランスを保つ
・血液凝固に必要な物質を作る
など


肝臓の90%は10日位で新しい組織と入れかわっており、その材料はタンパク質です。


体内の化学工場といわれる肝臓は、タンパク質を原料にして無数の酵素をつくり出し、その酵素を使って運び込まれてくる物質を必要に応じて変化させています。


タンパク質が不足すると、肝臓の動きや再生力が衰えてしまいます。

 

⑥シワになりにくい


肌をつくる細胞が毎日作り替えられ、その細胞同士を結びつけるコラーゲンがいつも弾力を持ち続けていれば、ハリのあるみずみずしい肌を保つことができます。


コラーゲンはアミノ酸を材料に体内でつくられるタンパク質の一種です。
そして、その合成にかかせないのがビタミンCです。


コラーゲンは骨、皮膚、血管、腱などさまざまな臓器に存在します。
肌では、表皮の下の組織、真皮に豊富に含まれ、肌の弾力を生み出しています。


本来、規則正しく並んでいますが、加齢やタンパク質不足で壊れると、それがシワやたるみとなります。

 

この乱れた真皮に外側からコラーゲンを届けようとするのが美容液ですが、一時的な保湿効果は期待できても、残念ながら肌内部の組織を戻すことはできません。


美肌を目指すためには、タンパク質を摂り、コラーゲン合成を助ける方が有効です。


なお、コラーゲン食品を摂っても体内でアミノ酸に分解されるため、そのまま肌に届けられるわけではありません。
 

⑦骨折しにくい

骨の体積の50%はコラーゲンでできており、硬いだけでなく衝撃を吸収するしなやかさを兼ね備えています。


骨の構造を鉄筋コンクリートの建物にたとえると、コラーゲンは鉄筋でその間を埋めるセメントの役割をしているのがカルシウムです。


骨の強度には、カルシウムの量だけでなく、骨の鉄筋であるコラーゲンの質が大きく関わっています。


タンパク質の摂取は、コラーゲンの質の維持や骨を丈夫にすることにつながります。

 

⑧老化を減速する

身体は約37兆個の細胞でできています。

古くなった細胞は新しい細胞と入れ替わります。
これは爪や髪の毛が伸びる、傷が治るなどを見ればよく分かることです。
作り替えられる速度は、身体の組織ごとに違い、また同じ組織でも異なります。
良質のタンパクが不足すると、胃腸壁などはすぐに影響を受けるため、材料が不足している状態では、老化に拍車がかかります。

 

⑨傷の治りが早い


 

怪我をして出血する、火傷をして体液が流れ出る、骨を折る、手術するなどの場合、身体の組織が壊され、大量の体タンパクが失われます。
また、痛みやショックがストレスとして体タンパクの消耗を促し、さらに組織を再生するタンパク質が必要となります。
このように身体が傷つくと、二重にも三重にもタンパク質が必要となります。

 

⑩疲労しにくい、ストレスに強い


ストレスが多い時、身体はストレスに対応する準備(抗ストレスホルモンの合成)をするため、良質タンパク、ビタミンC(抗ストレスホルモンの材料)などの消費量がいつもより増えます。

 

その際に栄養素が不足していると、身体でいつも作れるものが作れなくなり、疲労感やだるさなどにつながります。
 

ストレスに対応するためには、良質タンパク、ビタミンCなどの抗ストレスホルモンの材料となる栄養素を強化することが重要です。
 

タンパク質が不足すると・・・


タンパク質は、脂肪や糖のように体内に貯蔵することができないため、毎日体重1㎏あたり1gの必要量を摂取することが大切です。

良質タンパクとその摂り方については、こちらをご覧ください。

質の良いタンパク質とは?その摂り方について | 分子栄養学のススメ (ameblo.jp)

 

 

●かゆいとかいてしまうのはなぜ?
 

かゆみは、体を守る防衛反応の一つです。

皮膚に異物がくっつくと、かゆみとして感じ、違和感や異常が生じている部分を知らせてくれます。

「かいたり」「ひっかいたり」するのは、その異物を取り除こうとする行為といわれます。

※1940年代にシカゴ大学のステファン・ロスマン博士によって、「かゆみはひっかきたくなるような不快な感覚」と定義されました。
 

●かゆみの発生

皮膚が異物によって刺激を受けると、肥満細胞(マスト細胞)などから、かゆみを起こす物質(ヒスタミンなど)が放出されます。

この物質が、かゆみを伝える神経の末端にある受容体(レセプター)に結合すると、電気信号に変換されます。

 

電気信号を受け取った脳は、かゆみを認識します。

かゆみの刺激を受け取ったのは皮膚ですが、実際にかゆみを感じているのは脳ということになるのです(下図)。

 

アトピー性皮膚炎や老人性乾皮症などでは、知覚神経線維が表皮内へ入り込み、マスト細胞とともにその密度を増やしていることが分かっています。

下図のように、神経が表皮まで伸びてくると、小さな刺激にも過敏に反応して、かゆみを感じてしまうことになります。

これは、かくことで皮膚のバリア機能が壊れてしまうことが原因の一つといわれています。

 

●かゆみを起こす様々な原因


 

上記以外にも、入浴などで皮膚温が上昇したときには、神経が刺激を感じ易くなっています。


分泌された汗が角質層に拡がってじっとりした感じになると、表皮への汗による刺激がはじまります。


イライラするなどの情動による発汗も、かゆみ刺激の元になることが知られています。 


就寝時には、大脳の活動レベルが下がっているため、かゆみ刺激を受け易くなります。


肌着を脱いだときには、毛根の毛包を取り巻く非常に敏感な神経が刺激されます。 

“かく”という行為がかゆみを強める場合もあります。

 

かゆみの対策としては、
日常生活において上記のような刺激を少なくすることと、

皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を補うスキンケアおよび、

栄養条件を整えることが大切です。
 

●バリア機能と栄養素

細胞間脂質を構成する「セラミド」や、潤いを保つ「NMF(天然保湿因子)」などの因子は、角化の過程で作られています。
そのため、皮膚の潤いが適度に保たれるためには、角化が正常に行われることが大切です。

良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル(亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウム等)などの成分は、代謝機能を正常化していくために、必要不可欠なものですが、さらに、皮膚の材料としても重要です。

●これからの季節は乾燥に注意

私たちの生活には大気に適度の湿り気があることが必要条件ですが、皮膚の生理機能には特に重要です。


角質層は大気から水分を吸収して、それを保持します。皮膚の柔らかさや滑らかさは、それによって生まれています。

吸収された水分子は、角質細胞の層の間を埋めている細胞間脂質や天然保湿因子との結合水として留まります。

夏から秋になると気候の変化によって、皮膚が乾燥してかゆみの症状が出やすくなりますが、かく前に少し冷やすことでかゆみが治まることも多くあります。


これは、脳は同時にいろいろな刺激を受け取ると、優先順位をつけて情報を処理するためで、かゆみは温度覚よりも下位に位置しているのです。


冷やしてかゆみが治まったら保湿クリームやビタミンEオイルなどを塗布し、乾燥を防ぎましょう。


栄養素では、ビタミンC、ビオチン(ビタミンB群)、ポリフェノール、フラボノイドなどの抗ヒスタミン作用のある成分の摂取をお勧めします。

参考:「かゆみをなくすための正しい知識」(毎日新聞出版)