こんばんは、ココアこと田中貴子です。
歌舞伎は、敷居が高くて、これまで縁がなかったという方はいませんか?
チケットの値段も高いし、独特な言い回しもあって難しい。
その垣根をちょっとだけ手近に楽しめるようにしてくれたのが、シネマ歌舞伎です。
新春7日から全国で封切りになった、当代一の女形・坂東玉三郎さんの「阿古屋」を早速観に行きました。
チラシだけでも、気品に満ちた佇まいと、着物のあでやかさに、うっとり!
目玉は、「琴責め」と呼ばれる、琴・三味線・胡弓の3曲を演奏する場面。
阿古屋は、追われる身の恋人の居所を問われる遊女。
知らないと突き通す阿古屋の心に偽りがあるのか試そうと、代官が3曲演奏してみよと申しつけるのです。
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/33/
私が玉三郎さんを生の舞台で見たのは、高校生。
玉三郎と仁左衛門(当時・片岡孝夫)をそれぞれに愛してやまない友人たちがいた影響で、その美学に惹かれました。
元々梨園の出身でないのに、血のにじむような努力で、今の地位まで築き上げた人。
女形として、高い身長のハンデをも、腰を落とし膝を曲げて演じることで、乗り越えた人。
長時間舞台に立ち続けるのですから、身体の負担も想像を絶するかと思います。
舞台や稽古のあと、すぐ帰宅して、毎日マッサージをお願いするのも、全て最高の演技をするため。
何かの特集番組でそう聞きました。
この映画の魅力は、本番の舞台の素晴らしさを堪能できるにとどまりません。
阿古屋に懸ける玉三郎さんの想い、稽古場の様子、舞台を支えるスタッフさんを映すドキュメンタリーにも、胸が熱くなりました。
一緒に演ずる役者・演奏者にあたる人はもとより、裏方後方の楽器の弦をチェックする人、着物や髪飾りの細工をお直しする人、大舞台を動かす人、照明等など。
最大限に良いものを作っていこうとする想いが、人から人へ、モノからモノへと託されて、お客さんを夢の世界にいざなうんだなぁ・・・。
仕事に真摯に向き合う横顔が、どの方も凛として輝いているのが、心に残りました。
今まで歌舞伎なんて・・・といった方も、ストーリー仕立てでないので、見やすいと思います。
何より、これを演ずる人はこの人しかいないとされる最高の舞台は、必見ですよ。
過去ブログで、片岡仁左衛門主演の「女殺油地獄」のレビューも書いています。
読んでくださって、ありがとう。