「稲作の基本を極めた篤農家…」
長野大学の地域連携センターの今年後期の講座がはじまりました。
今年、興味を惹いたのは、「天然農法を読む」で、地元立科町の民間農業指導者だった黒澤浄氏を研究します。
農業関係者は前期は繁忙ですので、冬に向けての後期講座、しかも夜の時間帯なので、受講しやすい設定です。
立科町で昭和初期から自然農法で農業を営み、農業技術を追求していた黒澤氏。
有機農業歴45年という講師、丹野喜三郎氏が30年前に出会った先達です。
福島県から上田市に移住して有機農業を営む丹野氏と受講者は、
黒澤氏の談片録や日記を読み解き、まとめていきます。
★丹野氏の活動
http://shinshu.fm/MHz/22.56/archives/0000440334.html
5回の講座で、まず最初に読み始めたのは、黒澤氏監修のゑばなし「いねつくり」です。
これは、子どもにも分かりやすい栽培法の絵本。
図式や写真が役立つ農業の現場技術が、すべて絵によって記されている昭和24年発行の本です。
黒澤氏は地元の先人としては知る人が少なく、活躍の様子が遺されている記録は貴重です。
昭和25年の衆議院農林委員会に「食糧増産に関する農業技術改善」のための参考人(6名)として出席した記録は特記されるものです。
★国会(昭25.12.6)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/009/0802/00912060802006c.html
この記録を読むと、最後に記されている原田雪松氏と大井上理学研究所長の意見が印象的で、
農家の技術による稲作から、試験場や改良技術員制度による技術指導の稲作への変遷のはじまりが伺えます。
93歳で亡くなった黒澤氏の古い表紙の日記は、91歳の言葉で終わっています。
要約すると、今の世は“三界の火宅”で、心身が病み、自然は侵され、地球滅亡の危機を感じます。清らかな明日を築くことを切に願います…という感じの内容が…。
「もっと…」を望みがちな私たち…。
食料への欲は、味・量・形状・栄養、安全、安さ。
優先順位の1位は、本来の食の役割で考えたいものです。
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